自動車購入販売の法律講座4

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無権代理人の責任を含む無権代理の当事者関係4

無権代理の相手方は本人ほど安定的地位ではありません 中途半端になっている契約を本人の追認により安定できれば それにこした事はないですが また多少乱暴な方法だけど表見代理に持って行く事ができれば当初と同じ効果が得られますが それも出来ないばあい こうなったらチャラにしたいと考えても不思議じゃありません 法もそれを認めています しかし無条件では取り消し権を認められません この場合時系列では本人より後ではないのに 無権代理の相手方が鶏になり無権代理をされた本人が卵になります 卵は鶏を選べないの理論により本人の追認権が優先されます そこで無権代理の相手が契約を取り消すのは本人の追認までと言う事になります 無権代理の相手方の取り消し権には もう一つの条件があります 無権代理の相手方が取り消し権を行使するのは無権代理の相手方が善意の場合のみです これは無権代理の相手方に責任大きい場合本人の利益をもっとも強くするためです 無権代理の相手方の取り消し権がなければ本人は無権代理の相手方の催告がないかぎり 本人は好きな時に追認できるし ほっぽらかす事も出来るからです

無権代理人の責任を含む無権代理の当事者関係5

さて無権代理人の相手方は本人と違いなんらかのリアクションをしなければ自分の地位がいつまでたっても安定しません そこで行動を起こし追認されなかった場合怒りはどこへ持っていけばいいか もちろん無権代理人です ではどのような方法で恨みを晴らせるのか それが無権代理人の責任追及の問題です 無権代理人といいましてももともと代理権を持っていなかったのか これは悪質ですが 本人に責任があるが表見代理が成立するまでいたらんかったのか この場合無権代理人にも三分の理がありますね ケースはいろいろです また無権代理行為の中には特定物の売買のように本人が追認しなければ夜も日もくれないものもありますが そうでないものもあります そこで民法は無権代理の相手方の責任追及について ある程度無権代理の相手方に選択権を許す条文を書いています 民法117条です 他人の代理人として契約した者は自己の代理権を証明する事ができず 本人の追認を得ることが出来なかった時は  ここからが大事です  相手方の選択に従い相手方に対して 履行又は損害賠償の責任を負う つまりどんな方法で責任を取らすかは無権代理行為の相手方が決めます

無権代理人の責任を含む無権代理の当事者関係6

無権代理人の責任の追及が無権代理の相手方の選択に任されていると言いましても実務的には無権代理された契約の性質で決まると言っても過言ではありません 本人の追認がなければ実現出来ない事を実現しろと言っても無理ですから 例えば自動車等の販売である人間が自分で製造した自動車について無権代理人が行われた場合 本人の追認がなければ 出来ません おのずと片方に決まります 法律試験の場合この通り設問に答えなければ正解になりませんが実務の場合こう言う覚え方をして下さい 無権代理行為の相手方は無権代理人自身が履行を申し出てきても それを拒否できると言うことです 実務ではちょっと考えるとわかりますね 人が取引をする時商品だけで契約を決めるわけではありませんね 売主の信用が大事です いくら同じ物が手にはいっても売主が替わるんじゃ 取引を見直したいと言うのが普通です こういう場合を考えて 無権代理の相手方に考える自由を与えたのです しかし契約の実現が出来るとしたら それをチャラにすると言うのは乱用のもとになりますから 契約の相手方の責任が軽い場合意外は認めたくないわけです 例えば実現できない事がわかっていながら無権代理人の責任を追及するため 場合によっては本人と組んで代理人を填めると言う事もあります 取引社会では結構あります 無権代理の相手方がそのような権利の乱用をしないように無権代理人の責任追求をする相手方には条件があります 相手方は善意無過失でなければなりません 判例では無過失まで要求されています

無権代理人に責任

前回説明したように無権代理の相手方は善意無過失でない場合無権代理人の責任追及は出来ません この言い方はどの解説書でもされています この言い方は間違ってはいないのですが不親切です 試験ではこれだけの知識でとおるので余分な知識で混乱させないため こう言う言い方をするのが一般的ですが正確に言うと 相手方が善意無過失でない場合民法117条の無権代理人の責任を追及できないと言うのが正しい言い方です もちろん簡単な試験を受ける方はここまでの知識は返って邪魔です しかし実務の場合横断的な知識が必要です この試験的答え方の場合 相手方が善意無過失でない場合無権代理人は相手方に対して無責と思われてしまいます この場合でも無権代理人に対し709条の不法行為責任の追及が出来る可能性はあります このように代理行為は条文理解だけでは役に立たない場合もあります  宅建の解説書やサイトはあくまで試験を通るための知識 実務では使えない知識もあることを御理解下さい

無権代理人に責任2

明けましておめでとうございます 今年のこのサイトは実務に使える理論を提供して行きたいと思います 又法律施行による従来の理論の改正のポイントについても説明して行きたいと思います  今日は無権代理人に責任2です さて前に代理人は無能力者でもかまないと説明しました 覚えてますか 理由は委任契約は代理人が責任を負わないからです しかしじゃあ代理人は誰でもいいかと言う事になりますが いきなり事例で説明しましょう Cは代理人BがAの自動車を売ってくれるので善意無過失で契約をしたがBはAの無権代理人だった この場合CはBに対し無権代理人の責任を追及できます しかし無権代理人が無能力者の場合民法117条の責任は追及できません これは条文に書いてありますが この一文がなくても追求は出来ません その理由は代理契約を取り消せるし それは善意の第三者にも対抗できます もし無権代理人の責任を無能力者に負わせると 善意の第3者に対抗できると言う条文の趣旨が委任契約では矛盾するからです しかし難しく考えなくても未成年の代理人とは後々を考えて契約しない方が無難です

代理権の消滅

代理権には消滅があります この代理権の消滅は表見代理や無権代理にからむ事があるので理解して頭に入れてください とりあえず条文どうりではなく任意代理人を抜粋して消滅事由を書きます 法定代理の場合特種な代理人もあり特別法の絡みがあるため総論として理解しないほうがいいからです では任意代理人の消滅事由を説明します  まず委任者の死亡<例外もある>委任者の破産 代理人が死亡 代理人の破産 代理人が後見開始の審判を受けたとき 委任の終了 本人の破産  特に気をつけるのは代理人が後見開始の審判を受けたときです ご存知のように無能力者を代理人にする事はできます しかし委任契約の段階では委任者は代理人が能力者だからできると計算して委任契約を結んだのですから 代理人が無能力者の最たる者である被後見人では計画が根底からくずれてしまいます そこでこのような特別な扱いにするのです

代理権の消滅2

代理権の消滅は頭で覚えたら覚え切れません すぐ忘れます 大事なのは自分が代理を頼む時どうあってほしかを考えながら頭に入れる事です 例えば本人や代理人が死ねば当事者と言う契約の基本構造がなくなります 代理は契約と言う対立構造のものです 人の意思にもとずき法律事実を発生させる事を契約といいますが契約のほとんどは対立構造で2者構造です その根本がなくなるわけですから原則代理権は消滅します 委任者または代理人の破産が終了事由なのは信頼関係が崩壊するからです あと一つ代理人の後見審判の開始は原則代理は最低でも本人以上能力が必要とされると言う代理制度の根本から導き出されます 代理人の条件が厳しくないのは法が望んだ状態ではありません 過去から代理人を厳しくと言う議論はあります じつは民法発足当事職業代理人は整備されてませんでした 弁護士と言うきびしい法的モラルで監視された職業はなく詐欺まがいの代言人と言う制度があったんです よく悪徳弁護士を300代言と言って侮辱しますが この語源が代言人です そんな時代ですから委任を出来る人が限れていました 法定代理制度があっても普通の人は対象になりません そこで人が頼れるのは身内だけです そんな状態の中で代理人の資格を制限すろと不便でした そう言う事から民法はこの要件を甘くしたのです 破産と後見審判を消滅事由にしたのは そう言う状況でも破産や後見審判に関わる問題は是認できないと言う事で この二つを特に代理の終了事由としたのです

代理権の消滅3

代理権の消滅に関しては民法111条 民法653条でほぼ同じ事を言ってます しかし任意代理の場合 民法653条を覚えれば十分です 今日は民法651条委任の解除について解説します なお委任の解除は民法653条に列挙してないため委任の終了事由にはなりませんが実務的には広い意味での委任の終了と考えて構いません 委任契約は特徴的な部分がありますのでそれを考えながらご理解下さい まず民法651条にもっとも大きな特徴があります 民法651条第一項 委任は 各当事者がいつでもその解除をする事ができる ピンと来たでしょう 契約は結べば当事者一方では解除出来ないのが原則でしたよね しかし委任契約についてはこの縛りがないのです 委任にこの原則を貫くと 普通の契約と違い終点がはっきりしませんからあえてこの条文を入れたのです しかしこれを貫かれてしまうと当事者が権利の乱用が出来る事になり結局力が強い方が弱い方を支配します 法が規制を弱めると強い方が勝つのです そこで第2項で民法はお節介を焼いてくれてます  当事者の一方が相手方不利な時期に委任の解除をした時は その当事者の一方は相手方の損害を賠償しなければならない ただしやむおえない事由があった時はこのかぎりではない 民法はナポレオン法典を基礎とするフランス法を基本としてるためそままの条文は国語的におかしいのが多いですが 簡単に言いますと当事者はやむおえない理由がないかぎり 不利な時期に契約を解除された相手に償ってやれと言う事です

代理権の消滅4

民法651条は今度の民法改正の目玉でもありますが 根本理論に変更はありません 今回の改正はほとんどは判例で認められた物を条文につっこんだだけです 民法は刑法と違い法律の遡及がありえる事もあるため 民事局はやりたくないんです 基礎理論は変わりませんから 後日説明します ただ今回の651条の改正は本来651条の解釈と違うだろうと言う大審判例を無理やり651条の条文に入れたと言う意味では特徴的です 施行以後に説明します ところで今の所は法律ではなく解釈に過ぎず その上話が飛躍しすぎてるため651条の解釈かどうかも怪しい 大審判例の要旨を記載します それは委任契約が受任者の利益をも目的とする場合 委任者は651条にもとづいて委任契約を解除する事ができないと言う 651条の例外を認めた判例です

代理権の消滅5

話は再び651条の本文委任の解除に戻ります 自動車購入販売の場合 実務的には解除 つまり合意解除のトラブルは少なく 解除の原則パターンである合意解除を割愛して来ましたので 解除が理解できずに委任の解除を取り上げる事をお許し下さい しかし解除論を学習しますと おそらくだらだらになり せっかく体系的に学んだ事が混乱する可能性があるので あとで一度に解説しますのでお許し下さい さて委任の解除に戻ります 今日は委任の解除の効果 民法652条について勉強します 民法652条には一言書いてあります 第620条の規定は委任について準用する これはどういう意味かと言うと 620条の主語を委任と読み替えていいよと言う事です それをやってみると 620条はこうなります 委任の解除をした場合 その解除は 将来にむかってのみ効力を生じる この後は省略します この条文でもわかるように委任の解除の効果は遡及しません これを委任の解除の将来効と言います

代理権の消滅6

委任の解除が遡らないのは理由があります 代理で契約で行われたばあい 本来本人が権利と義務 契約上の地位<取り消し権等>は本人のものとなるはずですが 代理契約の解除が遡及しますと代理契約が無効になり 代理契約の相手方は無権代理人と取引した事になります すると相手は契約が成立するのに自分の善意無過失を改めて証明しなければなりません もちろんこれは当然証拠なしでも認められますが また実務上は 代理させた本人は正規にした契約をわざわざ追認しなければならない事も また理論上は契約の相手は取り消し権行使は無理ですが実務上は取り消し権の行使もあるのです 代理人もそうです 理論上は無権代理人の責任をとる必要はありませんが実務上は請求される可能性があります 実務上の事を理論ではねのけるためには公権力 つまり裁判が必要になるからです そこでこういう問題がおきないため委任の解除は将来効なのです

代理権の消滅7

では代理権の消滅は遡るでしょうか これに答えた判例はありません しかし無権代理人の本人相続の判例で代理権の消滅は将来効でなければなりたたない判例があるため <無権代理人の責任の相続は難しいので判例の内容は割愛します>代理権の消滅も将来効だと考えていいでしょう でなければ代理なんて人に頼めませんから

代理権と詐欺

今回からは代理権の応用問題を説明します 代理権は消滅問題や表見代理 無権代理と本来の代理の法律的性質がある上に 契約上のトラブルが絡みついてきますから 本来好ましくありませんが 日常生活の中で代理がわからないと大変不便な世の中です また代理は法人の代表にも通じる理論のため 知っている人と知らない人では雲泥の差が出ます もちろん自動車においても同じことです 単なる代理人の問題だけでなく 代理人が代理人を選任する復代理の問題がネット社会の発達とともにどんどん増えております きづかないだけで代理人のトラブルは社会全体にあるのです むずかしいけど しっかり覚えましょう

代理権と詐欺2

代理権と詐欺の問題を考える前に代理の基本を頭に浮かべましょう 代理とは代理人とは代理人の行った行為で発生する権利や義務が本人に生じると言う事です 代理人の行った行為を言い換えれば 意思の主張と相手の意思の受領です このようなルールでは本人の意識より代理人の意識が優先されます したがって本人の意識と代理人の意識が違う場合 結果を生じさせる順番は一番が代理人の意識及び認識であり それがはっきりしないとき また代理人の意識だけでは問題が解決しない時本人の意識が検討されます そこで相手方詐欺の時本人がそれを知らなくても代理人が知っていれば本人は詐欺の取り消し権を取得できません これは原則代理人の意識が本人の意識に優先sれるからです では反対に詐欺である事を代理人が知らず本人が知ってる場合はどうでしょうか この場合代理人の意識が優先されるから本人は取り消し権を得るはずです しかしこれを許すと 本人は何も知らない代理人を使えば リスクが高い詐欺まがいの契約を知りながら契約しながら 都合が悪ければ取り消す事が出来 法が権利の乱用を助長する事になります そこで権利の乱用はこれを許さずと言う精神から本人は取り消し権を主張できません

代理権と詐欺3

代理権が間に挟まれた詐欺を含めた意思表示においては認識は代理人が優先されますが 権利の乱用になる場合は本人の権利が制限されます しかしこれは今までの詐欺の当事者の関係に別の条件が入った事になります この部分を検討していかなければなりません 実は代理の詐欺取りけしと本人の関係は民法101条第2項に記載があるのですが読めばわかります すこし特種な状況が設定されています 明治時代にフランス民法を検討もせず導入しているせいです ちなみにこういう場合法律では原則類推や反対解釈と言う方法で条文を解釈します 反対解釈はわかるでしょうが 類推は論理的な物ではなく 実体を基準にします 例えば法律の医者の守秘義務を看護士まで適用すると言う物です そこで今まで代理人が善意で本人が悪意の場合は民法では101条第2項の類推で適応しました しかし条文にない物を使うので この本人が善意でも過失がある場合本人が取り消し権を手にいれるかは争いがありました これについての流れは現在は善意無過失でなければ本人は取り消し権を主張できないと言う解釈が主流ですが 改正した民法がもっとわかりにくいので判例を待つしかありません 現行の解釈では 代理人が詐欺にあった時本人が取り消し権を手に入れるためには 本人は善意無過失が必要とされています これは権利の乱用を制限するための当然の解釈でしょう<判例には101条2項を広く解釈した大審院の物があり 法務省の見解は広い解釈の方向です>  

代理権と詐欺4

今日は代理人が詐欺をした場合について説明します 民法101条を読んでみましょう 意思表示の効力が意思の不存在 詐欺強迫又はある事情を知っていたこともしくは知らなかった事に過失があった事によって影響を受けるべき場合には その事実の有無は 代理人について決するものとする   と言う条文です  この条文はわかりにくいですが代理人が相手方を詐欺した場合その責任は本人が取ると言う事です<刑事責任の問題は別> ところで代理人が詐欺をするのはイメージはわかないですよね 代理行為の権利も義務も本人が負うわけですから 他人の損得のため詐欺まで働く奴がいるかと言う事です 実務的に言いますと 横領を考えてない代理人は本人のために積極的に相手方に詐欺はしません しかし代理の場合 主に権利は本人に届く前に代理人が一時預かりします これを横領できます こういう意図のある代理人は本人のために相手方を詐欺します これは代理人は本人に対しても詐欺をしてるのです 少ない例ですが実務上ありえると言う事を御理解下さい

代理権と詐欺5

理屈上では考えられても実際にはありえないケースと言う物があります 前回説明した代理人が本人のためたのまれてもいないのに詐欺をする代理人は通常はありません  そしてもう一つありえないケースがあります 相手方詐欺で代理人も本人も善意と言うケースはありえますが 代理人詐欺で代理人も本人も善意と言うケースです 詐欺行為は原則故意なので代理人も本人も詐欺と言う意識がなく相手方を騙すと言う事はまずあり得ないのです 通常詐欺が行われる場合本人も代理人もグルです    ここからが大事です しかし代理人には詐欺の意識がなく本人が詐欺をする場合と言うのが稀に起こります  普通代理は契約を締結しますから その時点で自分が詐欺の片棒を担いでるかどうかわかります しかし代理人は無能力者でもいいため判断力が弱かったり 社会経験が足りないため見抜けない場合もあります そこで代理人の未熟さを利用して本人が詐欺等を働けないように 民法101条2項があります 特定の法律行為をすることを委託された場合において代理人が本人の指図に従ってその行為をした時は本人は自ら知っていた事情について代理人が知らなかった事を主張することが出来ない 本人が過失によって知らなかった事情についても同様とする 代理人に詐欺の意識がなくても本人に過失や故意があれば その指図に従った代理人の善意を相手方に主張できません

代理権と即時取得の可否

話をする前にちょっとケースを比べて見ましょう 今Aと言う人が軽自動車を持っていました ところがBにそれが盗まれてCさんの所へ譲渡されCさんが善意無過失で引渡しをされると 即時取得が成立します  しかし似たケースでBがAの代理人と名乗った場合 即時取得は成立しません 無権代理人は無権利者ですから 即時取得が成立してもおかしくありません しかしもし即時取得を認めると 本人の追認権 追認拒否権が無視されてしまい 無権代理人の責任だけが残ります しかし無権代理人の責任は元来無権代理行為が追認されなかった事を前提とするため 無権代理についての結論が出ない場合の事に付いての条文ではないので 無権代理の本人は無権代理の責任を追及できるか微妙なのです 民法117条が無権代理人の責任追及を無権代理の相手方としているからです そこで無権代理人の相手方には即時取得できても 即時取得を認めないのです

復代理

今日から復代理について説明します 復代理とは代理人が代理人を頼むと言う形で取引社会では頻繁の行われていますが 私生活においては まず問題になる事はありません しかしネット社会の発達により良く知らない人間に委任したり 物を購入するのに相手が本人ではなく代理人と言う場合もあります また法人と取引する場合代理店と取引する方が多いでしょう そのため復代理の知識は必要ですので勉強しましょう 理論的でわかり難いですが一つ一つやっていきます まず復代理とは 民法104条です 委任による代理人はあ本人の許諾を得た時又はやむおえない事由があるときでなあければ復代理人を選任する事が出来ない つまり代理人は勝手に代理人を選任できません 実務的に言うと任意代理人の場合 本人の許諾がないとほとんど復代理人の選任はできません ではやむおえない事由とはいったいどんなものか 例えばこんなケースです 本当はやめたいのだけど 相手方が承諾しなくて 無理にやめると損害賠償を請求されるため 正式に辞任する時期までの間他人に業務を頼んだとかの場合 もしこれを認めなければ 例えば遠方に代理人がいるのに 別の場所で代理契約とか不可能な義務を負わされ 損害賠償を負わされます もちろんこう言う場合も復代理が完全に認められるわけではありません 不可能な事を委託されればまず委任を解除すべきだからです

復代理2

このように復代理人を決める権限を復任権と言います 復任権は法定代理と任意代理ではかなり異なりますが法定代理人は後でやります 次に106条を飛ばし107条の話をします 理由は106条は法定代理との比較なので法定代理を勉強したあとじゃないとイメージがわきません さて107条です 復代理人の法的性格です 復代理人は代理人の代理人ではなく本人の代理人です もし復代理人を代理人の代理としますと権利や義務が本人ではなく代理人に発生してしまいます この時もし代理人が本人を裏切ると代理人が法律上の権利義務を持つため委任契約での方法では本人は権利の実現ができません なぜかというと委任における代理人の義務は本人が権利義務を取得した事が前提になるため 法文を直接使えなくなる可能性があるのです そうなると本人は代理人にとんびに油揚げを奪われ 代理人に対しては債務不履行の責任しか負わせられない事にもなる可能性があります  そこで復代理は本人の代理人であり 代理人の代理人ではないと 復代理行為による権利義務の発生先を指定したのです

復代理3

復代理人は代理人の代理人ですが 独立した代理人ではありません 大変矛盾していますが これは本人との契約がないので当然です 実は復代理人は本人との間に委任関係がありません なのにあえて本人の代理人とみなしているのです したがって本人の代理人でありながら権限は代理人の持つ範囲です これはもし復代理人が代理人以上の権限を持つと本人は予想しない事になるからです 本人の代理人ですが権限を与えるのは本人ではなく代理人です 本人が同意しても権限を与えるのは代理人です 場合によっては本人の同意がない場合もありますから 本人の想定を越える事は本人を驚かしてしまいます それに元々代理権の権利実現を補助するわけですから 代理人は復代理人に自分にない権限を使わす事は不可能です また復代理人を選んでも代理人は代理権を失いませんから 復代理人に自分の代理権より強い権限を与えると 自分の代理行為ができなくなるかもしれません そこで復代理人の権限は代理権を越える事が出来ません

復代理4

今日は任意代理人の復代理人選任責任について民法105条のの説明します 多分に実務的な部分があるので良くお聞き下さい まず原則に戻って戻ってみます 本来委任契約と言うのは当事者に信頼関係があって初めて成り立ちます 特に委任者は代理人を信じて依頼するわけです つまり本来復代理はあってはならない事です 受任の義務を果たせないなら委任契約を解除すればいいわけです しかし様々な事情で解除が出来ないとき復代理が認められます そこで法としては 厳重な要件で復代理を認めたのですが それでも本人の保護は不十分です なぜなら復代理人は本人の代理人ですが それは便宜上で本人との間に委任契約がないので実務上はともかく法律的には本人の直接監督に服す義務はありません しかしそれでは解除をして新しい代理人を選ぶより本人が不利になります そこで本人が不利にならないように代理人に厳しい責任をおわせましたあ それが105条です 代理人は前条の規定により復代理人を選任したときは その選任監督について その選任監督について本人に対してその責任を負う つまり これは本人の許諾ややむおえない事情を前提とするため それでも 選任監督は代理人責任だと言っています

復代理5

1月13日に遺言の手続き緩和が施行されました 法律は出来るとまず交付され そして施行されます 今回は事情から施行の時期がかなりばらばらです 質問コーナーでは施行日の来たものから説明をはじめております さて今回は民法105条の続きです 前回任意の復代理においては原則選任監督については代理人は復代理の責任をおわされると説明しました この条文じたいすっきりしたものではなく初学者には覚えにくいものですが ここはしっかり覚えて下さい というのはここでしっかり覚えれば後で法定代理人の復代理人の責任がすんなり頭に入ります 通常この2つを比較して覚えさせようとします まず覚えられませんし 覚えても忘れます  さてこの任意代理の復代理の責任はかなり厳しいものですが一つだけ例外があります 民法105条を見てみましょう 2項です代理人は本人の指名に従って復代理人を選任したときは前項の責任を負わない 条文では難しいですが実務ではわかりやすいです 本人の指名で選ばれた代理人は 大概本人の知人で本人との委任契約はなくても本人の指示にしたがってしまいます それを代理人に負わせるのは無理ですから 当然の話です 復代理については復代理自体が代理の例外なのに例外の例外どころか例外の例外の例外までありますから 無理に法定代理人と比較せず 覚えて行きましょう

復代理6

今回も105条の続きです 前回までに代理人が復代理人を選べる条件 その時の責任 そして責任を負わない例外の説明をいたしました 今回は代理人が責任を負わない例外の例外 つまり原則に戻り責任を負う例です 前回説明しました本人が復代理人を指名して それに基づいて代理人が復代理人を指名した場合代理人は責任を負いません だがしかし それだからだと言って代理人の本人への誠実義務が全部否定されるわけではありません 代理人の立場から言わしてもらうと 復代理人を本人が指名するのはあまりいい気持ではありません だから人間はこう言う場合勝手にどうぞと言う気持になります そうなると人間は残酷になり 本人が気づかない復代理人の問題点も見てみぬ振りをします なぜなら本人が酷い目にあればいい気味だからです でも本人の立場から見れば代理人の代理権権は残ってるのだから代理人がサポートしてくれると思います しかし代理人の立場からすれば 問題が起きても代理人には責任は生じないので知った事かと言う事になります そこで民法105条2項後段です  ただし 復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは この限りでない  つまり普通に気がついた復代理人の欠点は本人に告げ口しなさいと言うことです しかし 復代理人に対して嫌がらせをしているように本人に受け取られるので実務上は期待できないでしょう 違法行為をしてるとかじゃなきゃね

復代理7

今回はおさらいを含めて民法107条を解説します まず原則に戻った場合 復代理人には複雑な特徴があります その一番の特徴は委任契約は代理との間なのに代理の結果は直接本人に及ぶと言う点です だから復代理人は代理人の代理人ではなく本人の代理人と言われます ところが復代理人に権限を与えるのは原則本人ではなく代理人です そこで復代理人が責任を誰に対して負うかと言う事が問題になります 理屈で考えれば確かに代理行為で発生した権利や義務は直接本人に及びますが本人との委任関係がないため 責任は誰に対して負うかはっきりしません 例えば代理行為によって手に入れた物は誰に引き渡すのか これは権利義務の発生とは別の問題ですから 代理契約により本人に権利義務が発生しても それは観念的問題ですから 実体には合わない場合が多いんです そこで民法107条になります 第2項 復代理人は本人及び第3者に対して 代理人と同一の権利を有し義務をおう つまり代理契約で手に入れた物は代理人ではなく本人に直接渡せと方は命じています

民法改正 代理の部分についてすこしふれます

代理権と言うのは民法では総則と言われます この総則を含めた と言うより総則はおまけですが 債権法改正が来年から施行されます と言っても来年ですから今から話しても百害あって一利なしですが 中には判例の流れをそのまま反映した改正もあります まず今回代理権改正の目玉である表見代理人のちょうじょう適用は現民法の解釈からは当然に結論されませんが 判例では民法109条と110条のちょうじょう適用を早くから認め それに基づいた裁判例もでています では民法109条 110条のちょうじょう適用とはいったいどういうものでしょうか 民法109条は代理権を授与と見なされた表見代理 民法110条は代理権ゆえつの表見代理です このちょうじょう適用と言うのは元々代理権がないのに本人の何らかの責任で代理権があるかのように相手方が勘違いをしてしまい その上その代理権があったとしても その権利を越える事を代理人がしてしまった契約が成立した場合 もちろん基本代理権の部分は本人に責任を負わせますが その余分の部分は本人に責任を負わす必要はないのかと言う議論です これはあくまで本人に大きな責任がr場合ですが その場合110条をいきなり適用は理論的に無理です すると109条の適用になります しかしちょうじょう適用を認めない立場だと本人の責任はここまでになります その基本代理権を越えた部分は本人に大きな責任があっても本人は責任を負わない事になります 民法109条と110条のちょうじょうを認めなければ この部分で得を得ようとする人間が必ず出てきます 権利の乱用を裁判所は認めませんので裁判所は109条と110条のちょうじょう適用を認めています それが今度の民法改正で正式に条文になりました もともと裁判所がそう言う扱いなので今覚えても問題ありません

夫婦間の日常債務についての相互代理

民法761条は夫婦間の日常債務について互いに相手方の行った事にたいする責任を決めてます これは任意代理とは言えませんが法定代理の領域でもありません その上実務において絡みが出る可能性が大きいので解説します 民法761条は 夫婦の一方が日常の家事に関して第3者と法律行為をした時は他の一方はこれによって生じた債務について連帯してその責任を負う 条文には代理と言う言葉はでておりませんが もう一つの条文も検討すると 夫婦は日常の法律行為については相互代理の関係にあると解釈されています 相互代理だと妻の効果は夫 夫の効果は妻に生じます これは昭和成長期の40年代に判例で認められ 以後代理権の問題として検討されています つまり夫婦の片方が行った契約が日常の法律行為と判断された場合権利も義務も夫婦が共同になるのです

民法改正 心理留保

民法93条は法律の本を読むと必ず出てくる総論のトピックです しかしあえてこれを後まわしにしました 理由はイメージが湧きにくい事 実務的ではないと言うことです 今民法93条を読んでみましょう  意思表示は表意者がその真いでないことを知っていても そのためにその効力を妨げられない  まずこれがイメージがわきにくい 真いでないことを知りながら表示するのは取引社会では何か意図があるわけで 詐欺でもやる気がなければありえません しかしこの状態でも民法では原則有効です つまりこれは現実社会にある冗談を取引社会にあてはめただけで実際には使えない理論です 94条の解釈と真逆のため 試験を受ける人は必要でも意味がない問題です 例えば事例としては ある商品の札200円と書く所を190円と書いたとします 極端に安く書けば錯誤の問題ですから この場合お客がレジにそれを持って来たら 客に少なくとも過失がないかぎり その条件で売らなけれなりません でも一般の社会ではごめんなさいですみます 従って理論として実用性は無いに等しいですが 民法の意思と表示の不一致 のルールと鏡面関係にあるルールなので もしこう言う問題に直面したら この後学ぶ民法94条と逆の考え方だと考えれば理解しやすいです 試験を受ける方がいれば ちゃんと勉強してください 稀に出ます

民法94条

民法94条は今回の改正から外れています しかし大変重要な条文です もともと通謀きょぎと言う現実的でない事を前提とした条文なんですが裁判所がいろんなものにこれを類推したので 実に重要な条文になりました まずどういう条文か見てみましょう 相手方と通じてなした虚偽の意思表示は無効 前項の規定は善意の第三者には対抗できない 93条と比べると 大変おかしいです 民法93条では嘘の表示をした人間は原則責任とってよ しかし94条はもっと悪質な他人と組んで 嘘の表示をした人間を原則保護だと言っています こういうのを石が沈んでこの葉が沈むといいます なんでこんな不合理が 恐らく原点がナポレオンのためでしょう フランス革命以後貴族達は没収をおそれて財産をブルジョワ名義にしたでしょうから それを勝手にブルジョワがうらないようにしたんでしょう このような特別な条文ですが この通謀虚偽と言うが無視され 真意と表示がことなる状況で具体的あてはめ条文がないとき 例えば代理の問題で どうも代理の条文だけではすっきり解決しないとき 代理の条文が類推適用される使者の問題 役員の越権問題 類推適用が可能となれば どんどん適用しています 本来は代理に類推できる問題でも代理は本人保護要請が強いため 本人に同情の余地があれば代理でいいんですが 本人が悪質な場合 あえてこちらの条文を選択する裁判官もいます 最後に代表的判例を一つ Aと言う人がいます その人の土地をBが勝手に自分の名義で登記してました 名義を移転する場合登記上本当の名義人にはわかるしくみなので 普通は本当の名義人が協力しなければ無理です だからAとBの関係は普通の関係ではありません 興味のあるかたは判例集を見てください と言うことですが 結局ほっぽらかしまして それでBはそれをいい事にその不動産に抵当権を設定して 競売に掛けられます そして落ちてしまいました 慌てたAは裁判を起こすのですが負けてしまいます この判例が94条の適用には通謀は必要ないと明らかにしました

民法95条錯誤  そして改正

今回民法改正のキモの一つであり 実務上も意味の大きい錯誤と言う話をしましょう  ところで本題に入る前に 意思表示にかかわる法律の条文をおさらいしましょう まず心理留保 これは真実と表示が一致しないことを自覚しているものです 次に通謀虚偽 これは二人以上人間が虚偽を作る事です この二つの特徴はどちらも 真実と表現が違っていて それを表現者が知っている事に特徴があります つまり 第一の特徴 真実と表現が違う 第2の特徴 それを当事者が知っているです 次に説明する錯誤は第一の条件は一緒ですが第2の条件がことなります 錯誤の場合は表現者は真実と表現が違う事を知らないのです さて本題に入りましょう 民法95条です 大変素人向きの文章ではないので語順を換えます 法律行為の要素に錯誤があった時は無効とする ここで一度中断します 実はこの一行に大変大事な事が隠されているのです おきづきになられた方もいるでしょうが 民法95条では対象となる錯誤の性質をはっきりと示しています つまり95条の対象となる錯誤は全ての錯誤ではなく錯誤が法律行為 主に契約 の要素である場合 はじめて95条の適用があると冒頭でいってるのです では要素の錯誤とはどのようなものか次回説明しましょう

民法95条錯誤そして改正2

法律行為の要素の錯誤 実にわかりにくい表現です ここらへんを深入りしますと不毛な事になります しかし概略をつかんでおかなければ使えません そこで基本的な所を押さえときましょう 一般的に言われている法律行為の要素錯誤とは この錯誤がなければ そもそもこの契約は成立しなかったと言うような錯誤です 実は判例もかなり漠然としたもので これとほぼ同じ表現です 実務や下級審では具体的な事例も出てます しかし裁判所ごとに結論がばらばらでこういう場合はかならず要素の錯誤として認められると言う事はありません 認められた事例として 相手方 目的 値段 価値 これらは相手方も当人の事情を判断できるからです 相手がたから全く判断できない錯誤は動機の錯誤と言って後で説明します 相手方の錯誤と言うのは対面契約では認められませんがかくち契約では起こる可能性があります だからネット契約の免責事項に書いてあったりします これからのネット社会頻繁に起こります 極端なのがエロサイトのホップステップジャンプですね エロ動画をクリックすると ステップとパソコンがそのページを離脱して ジャンプ  貴方は本動画有料サイトに登録されました 登録料150000を振り込んで下さい これはフィッシング詐欺と言われる詐欺です  目的 これはなかなか認められません だいたい目的物を見て契約しますから しかしこれもかくち契約ではおこりえます 契約の相手がたが目的物の大事な部分の情報を隠蔽したり 本人からの質問に対して不親切な対応をして本人の錯誤が生じた場合です 値段は書面契約では難しいし 法律問題が生ずる前にどちらの責任かわりますが 口頭契約の場合水かけろんからこの問題になる場合があります 最後の価値ですが 相手方が価値があるように本人を誘導すると詐欺の問題で95条の問題から離れます また本人が価値を勘違いした場合 動機の錯誤と呼ばれる錯誤の成立要件の厳しい錯誤になります 次回は動機の錯誤について説明しましょう

民法95条錯誤そして改正3

動機の錯誤と言うのは本人がこころずもりしていた事を言います 例えばバックを買う目的とかです 例えばバックを買うのはプレゼントのためとか 常識から考えて特別な目的があるばあいです もちろん目的があればすべて動機の錯誤と言うわけにはいきません 例えばバックをプレゼントしたら交際してくれると思ったのでバックを買いました しかし振られました バックはいりません 引き取ってくださいでは通りません これが成り立つためには本人が自分の動機を勘違いしてなければなりません 本人が自分の動機になっている事実の評価をあやまっていなければなりません 本来必要でない物を必要であると思い込んだとかです そしてそれが要素の錯誤でなければなりません しかし動機の錯誤の場合 これだけでは錯誤になりません それを相手に表示してなければなりません こういう事情があるから買うんですよとか そのように示す必要があります ちなみにバックを買ったらつきあってくれると勘違いしても 購入時点ではどうなるかは不明です 女性の心理はその時点では確定していません しかしこの時点で女性が婚姻していれば別です 常識から交際出来ない事は確実ですから 動機の錯誤になりうる可能性があると考えられます

民法95条錯誤そして改正4

ふたたび民法95条に戻りましょう 総則と債権法の改正の施行の実施にはまだまだ時間がありますので 改正法はかわる雰囲気だけ掴んでくれればいいですが契約はすぐでも法律的トラブルが改正以降になると言う場合もありますから雰囲気だけでも知る必要がありますが 当分世話になるのは現民法ですのでしっかり現法を学びましょう さて条文です このまえの次から書きます   ただし表意者に重大な過失があるばあい表意者は自らその無効を主張する事が出来ない ここに重要な要素があります ひとつひとつ説明します  まずこれを見た時あれに似てるなと思った方は優秀です 実はこの条文かなり94条に似てます ただ94条が全ての通謀虚偽に適用があるのに対して95条要素の錯誤が条件になります そして次の部分で違いがでます 94条では第3者は善意有過失であれば あれ条文と違うじゃん 法律の字づらだけならそうです 試験なら善意とだけ答えてください しかし善意とはまっさらな善意の事ではありません この事がわからないと意思表示関係の微妙なニュアンスがわかりません 善意とは悪意に近い物を言います 今善意度で順番をつけてみます まず一番 善意無過失  2番 善意無重過失  3善意  4番 悪意 この順番は頭に叩き込んで下さい 本日はここまでです

民法95条錯誤そして改正5

94条と95条の条文を良く読んでみると実は95条は特種な文章だと気がつかれたでしょう 意思表示3部作的93条 94条 そして95条ですが 前2つがスポットライトを浴びてる部分は第三者ですが93条についてのみ スポットライトを浴びてるのは表現者です つまり同じ物を別の角度から見ています なぜそうなのかは難解な理論になります で実務サイドでは95条は94条のように第三者を重視します と言うのは95条の条文はおかしな条文なんです 95条では錯誤は要素の錯誤がある場合 無効であると しかし本人に重大な過失がある場合 表意者は錯誤無効を主張を主張できない 錯誤無効は表意者にしか主張出来ませんから 誰も主張できません じゃ重大な過失は何かと言うと すこし注意すれば防げる過失です しかし錯誤と言うのは大半うっかりして行う事ですから うっかりで責任をとらされるんじゃたまりません また逆に表意者に防げるミスをふせがないと言う怠りがあるならば相手方が間違いを知っていても表意者は責任を取らされる事になります そこで判例は重過失要件の緩和と言う理論を作りました 判例によると 表意者の相手方が悪意の場合ただし書きは適用しないとされました なので文章は違いますが 錯誤95条は実務的には94条とほぼ同じ扱いです

民法95条錯誤  そして改正民6

本日より95条改正について書きます 条文は大きく変わりましたが改正について準備することはありません 判例をそのまま条文に入れた完成されたすばらしい条文です ある一点を除けば それは後で まず はっきりしなかった要素の錯誤と言うのが具体的になりました 要素と言う言葉は消えました 今度の改正により意思と表示の違いは原則錯誤であり 錯誤が契約そのものの成否に関わるほど重大である必要はありません たたし どんなささいな錯誤も錯誤として主張できるかは裁判所の解釈です 新法では 以下の表現に落ち着いています 1意思表示に対する意思をかく錯誤 つまり思ってもみなかった事は錯誤なのです 旧法ではこの錯誤により契約そのものの根底を覆すほどの重要さが必要でした もちろん意思のない表示がすべて認められるわけではなく 法律行為の目的 そして社会通念上重要な部分 つまり 間違いの条件では取引を継続したくないような要素があれば 契約の中の本質でなくても 取引を継続により損害が生じなくても<例えば相手方が違うとか>錯誤を主張できる可能性が条文により はっきりしたのです 今回はここまでです

民法95条錯誤そして改正7

今回の改正の一つに動機の錯誤が名文化された事があります その対象分は 改正民法95条一項2号になります 動機の錯誤と言う言葉は取り入れていませんが つづく 文章 第2項の文章から動機の錯誤を取り入れた事がわかります 動機の錯誤と言う言葉のかわりに 表意者の法律行為の基礎となる事実の認識の誤りと言う言葉を用いています しかしこの文章だと同じかと言うと すっきりはしてないですが 裁判所はこれを動機の錯誤を含むと判断するでしょう 認められる条件は判例を明文化したものです  今回はここまで

民法95条錯誤そして改正8

今回の改正について明るい部分をもう少し説明します 闇の部分があるので 今回の民法95条の明るい部分は表意者に重大な過失があった場合の とりあつかいの表意者の救済です 今までの民法の考え方では 表意者に重大な過失があった場合錯誤による無効を主張できませんでした しかし元来錯誤は重大な過失のために起きるものであり それでは実務的には錯誤をした人間は錯誤の無効を主張できないと言う矛盾した状態がありました それは判例が相手方の善意悪意を無効に絡ませると言う文言解釈ではありえない判例を出してくれまして 多くの錯誤者が守られたのです 今回はこれに上乗せし 二つの錯誤者に有利な改革をくわえています 一つは表意者の相手方の錯誤があった場合 重大な錯誤をした表意者は錯誤を主張できます つまりこれはどういう事かと言うと 法律行為の当事者が 互いに契約をしっかり認識してないばあいは重大な過失のある錯誤者は錯誤を主張する事ができます これは契約では単なる茶番ですが実務的には起こるので どうすべきかという論点がありました 今回の改正で条文に取り込まれました  長くなりましたので次回へ  

民法95条錯誤そして改正9

都合のいい改正についての残り一つを説明します 改正前の民法においては 重大な過失がある錯誤者は みずから無効を主張できないのだけれど 判例により 悪意の相手方には無効を主張できました しかし善意の相手方には 無効を主張できません この表現だと善意の相手方であれば どんなに悪意に近くても 無効を主張できないことになる 早い時期から 善意無過失の相手方だけでいいだろうと言う学説が有力でした しかしもともとこの相手方の善意悪意の基準は文理解釈では成り立たない 目的解釈だから どんどん緩和したり規制を厳しくするような変更をすると 司法による立法と言う問題になります 日本は3権分立の建前ですから これだと国会も黙っていないし裁判所じたいそこまで踏み切れないわけです そこで今回の改正です この改正により重大な過失のある錯誤者も 相手が善意重過失であれば錯誤を主張できるようになりました さて次回は今回の95条改正について 最も問題の点を話します

民法95条錯誤そして改正10

今までいい話ばかりでしたが今回から闇の話をします その闇は今回の改正を深く覆う闇です 簡単に言うと錯誤の法律効果が変わりました 錯誤は無効でなくて取り消しに変更されたのです へえそうなのと平然としている方は詐欺の取り消しに戻りもういちど読んでください 取り消しが実務的にいかに救いがないかと言う事を何度も説明しました 法律効果が取り消しになったと言う事でトラブルが山のように起こります まず無効と違い権利の上に胡坐をかけません 取り消しは取り消さなければ効果がありませんし 取り消しには期限があります それに第3者との関係が生まれます それについては改正条文にことわってあって 善意無過失の第3者のみ対抗できません 詐欺よりも緩和されています つまり善意の第三者には対抗できます 今回の事で95条がものすごくわかりにくくなってるのであとでまとめて説明します 今回はこれまで

民法95条改正まとめ 

様々な問題が起きる95条改正ですが 改正されたなら仕方ありません ただ軒を貸したら母屋を取られた司法関係者がおとなしく従うでしょうか 施行以後どうなるやら とにかく本日はまとめです 今回の95条の改正の一番の特徴は錯誤の効果です 無効が取り消しに変わりました それにつれて第3者の対抗関係が記載されました 錯誤の要件については緩和されたようにも見えますが わかりません ただ動機の錯誤とその成立要件が明文化されましたが 用語はつかわれておりません 錯誤者の重大な過失については錯誤取り消しを制限していますが二つの例外を認めています 重大な過失のある錯誤者も相手側が善意軽過失でなければ 錯誤取り消しを主張できます これは悪意と変わらない善意者でも無効を主張できない旧法の判例より錯誤者に有利ですが 取り消しのため第3者との対抗問題が起きるため 錯誤者に有利な改正とは言えません ただし第3者が錯誤者に対抗するためには善意無過失と言う厳しい条件が課されました また重大な過失のある錯誤者が取り消しをするケースに相手側の錯誤の場合も加えられました

95条改正による民法96条の重要な理論への影響

民法96条の改正は今回のスケジュールにはありませんでした しかし民法95条の改正により民法96条の大事な理論がお釈迦になったと言う事を今回はなします これは実務にもかかわる重要な理論で判例も出るのではないかと言われていましたですので 改正がらみで御理解下さい それはどういう事かと言いますと 民法96条 つまり詐欺についての条文ですが この条文では救済が不十分の場合 錯誤の条件もみたす場合 錯誤無効を主張しても良いと言う考え方があります それを詐欺と錯誤の2重効の問題といい 学説の多くはこの2重効を認めており 判例がでるのも間違いないだろうと言われていました なんでそれに拘るかと言いますと 法律の効果が詐欺の場合取り消しで 錯誤は無効だったからです 錯誤も詐欺も内心と表示が異なり それを表意者が間違ってしまったと言う意味では似ています ならより保護の大きい錯誤で保護してやろうと言うのが理論の趣旨です しかし今回の改正でこの議論はされなくなるでしょう なぜなら実益がなくなるからです

民法改正 意思表示についての経過措置の学習の前に隔地者間の契約を学ぶ

民法は施行日から新制度になります しかしどんな制度にも境目があります その境目について法律は経過措置と言うのがあります 改正に近い行為の場合新か旧かどちらを優先するかです その基準が今回の改正でも示されていますがこれを理解するには 民法の隔地者間の契約の知識が必要になります この知識はネット契約にも使えるので少し詳しく勉強したあと 経過措置の説明に入りますのでお付き合い下さい さて契約には対面契約と隔地契約があります 対面契約では申し込みと承諾が同時に行われるためトラブルは生じません しかし隔地契約においてはトラブルが生じるため民法では細かいルールがああります まず原則 意思表示は到達主義です 対面契約では表示イコール到達なので問題が生じません しかし 隔地契約では意思表示その物にまだ評価を出せないので この間は原則法的効果はありません しかしこの間にトラブルが生じることがあるため 法律は法的効力がない間の当事者の責任分配を決めています それが次回説明する到達までの規制です 本日はここまで

 隔地者間の契約

実は民法521条522条523条524条525条526条は改正されました 改正施行と同時にその適用をめぐり必ず解釈上の問題が生じると考えられますが とりあえず現法で説明します この改正は経過措置に大きく影響するため 直前まで論争が起きると思いますので 施行直前に改正内容を説明します さてそれでは民法521条の説明に入りましょう 民法521条は本来法律効力のない申込みと言う行為にあえて法規制をした 大事な条文の一つです ご存知のように契約は 原則両方の合意により成り立ちます ここ大事ですよ つまり承諾の時点では契約は成立して法律行為が発生していますが 申込みの時にはファジイですから本来は法規制は及ばないのですが あえて民法は契約自由の原則を修正して この申し込みを法規制してるのです そういう意味では大変実務的な条文です ではその内容は 承諾の期間を定めた申込みについてです 実際現代社会ではほとんどありませんが 公団などの申込みについてまれにあります 一般企業では期間限定商品とかです ワサビーフの激カラとかグリコのリー40倍とか ガリガリ君の特別商品とかです このように考えるとこの条文は理解しやすいですね 例えば山吉食品に指定期間内にわさびーフリッチを箱入りで注文しようとしたら 山よしから わさビーフリッチは都合により販売を中止になりましたと言われても カルビーのコンソメパンチを肉汁に漬して ワサビつけると言うわけにはいきません  そこで民法では承諾の期間を定めた場合 申込み者はその期間をすぎるまで申込みの撤回出来ないと言う条文を入れてます そこで山芳食品はわさビーフリッチが売れ行きが良かろうがわるかろうが製造しなければなりません もっとも在庫ぎれで免除を申し入れてますが 次回

隔地者間の契約2

今回の改正は主に承諾において変更点がありますが 申し込みの基本をしっかり覚える必要があります 施行まで時間があるのでゆっくり といっても改正も多いので暢気に出来ませんが 大事なのは基本です 今回は改正点も多いし影響も大きいですが基本から離れてはいません 憲法の基本的人権から産業革命の時に少し逆行してますし ますます夜警国家かしてますが16世紀のヨーロッパが夜警国家ならこれからの日本は夜警福祉国家です 福祉と治安と国防だけやれば後は自己責任でお願いします というわけです さて本題にはいりましょう 今日は申し込み第2回 期間の定めのない申し込みです  ワサビーフリッチ グリコのリー20倍 蒙古タンメンの激カラトマトソース味 などを除く一般の商品はこれです つまりいつでも販売してますと言う普通の販売方法です 民法はこれに対してもルールを決めてあります   承諾期間の定めのない申し込みは相当な期間まで撤回できません ここで用語の説明です 撤回とは原則法律行為が成立するまでを言います だから申し込みは撤回です この撤回は相当な時期までできません では一体いつまで出来ないか 判例があります まず申し込みが相手方に到達する日数 日本国内だと5日ぐらいでしょう 電話ならすぐですが 電話で申し込みをするケースは少ないし けいかいされます 次の条件 諾否の決定に要する時間 つまり思考時間です 次の条件 承諾の到達までの時間です これらを合計した時間が相当な時間です だいたい一月弱ぐらいですかね また学説で違うのですが企業が不特定の人に申し込みのチャンスを与える事は 申し込みではなく 申し込みの誘引であると考える場合もありますが実務では申し込みの誘引も使えるかぎり申し込みのルールに縛られます 次回

隔地者間の契約3申し込みの誘引

その行為は申し込みではなく承諾でもない行為を申し込みの誘引と呼びます 法律的では公式ではないのに実務的にはこの区別が大変重要になる局面があります このような非定型な物は申し込みの解釈に入れてしまおうと言う考え方をする人もいますが少数です 裁判でもこの二つは分けて判断されています 申し込みの誘引の場合民法の申し込みの規制の一部は適用されません 現実の消費社会では圧倒的に申し込みより申し込みの誘引の方が多いです しかしここまでが申し込み誘引で これ以上が申しこみと言う境があいまいです そこで実務的にはイメージだけ掴んで下さい  では簡単な例を上げます 法律ではありませんが プロポーズは申し込みです  公開花嫁募集は申し込みの誘引です  法律的には 商品宣伝は原則申し込みの誘引とされますが その対象の契約の性質 宣伝の仕方により申し込みとみなされる場合もあり 司法判断になります だからその区別より実務では申し込みの誘引も存在する事をご理解するだけでいいです

隔地者間の契約4

今回から承諾に入ります 承諾については今回の民法改正の範囲に入ります しかしまだ先の話ですので現法律を勉強して下さい ところで申し込みの誘引の場合 承諾者は申し込み者にされてしまうと言う解釈があります その解釈によると申し込みの誘引に対して承諾した場合 承諾者は申し込み者になり 承諾は申し込みの誘引をした方が出来ると言う考え方がまかり通っています もちろんこれには条文解釈ではありません しかしこの考え方を裁判所に採用されると宣伝に応じて申し込んだ人間は承諾者ではなく申込者になります そうなると物を購入したはずなのに 承諾者である企業に拒否られてしまう可能性もあります このように実務上は原則通りに行きませんが それは応用の問題でまず原則を見につけましょう さてまず承諾の効力は いつ発生するかです  承諾の効力は申し込みとは違い通知を発信した時発生します これを発信主義と言いますが 他の法律の発生時期からは例外です では承諾について発信主義は何故でしょうか これには契約の成立が影響しているようです ご存知のように契約のほとんどは諾成契約です もし諾成契約でなくても 契約の重要な部分は当事者の合意です つまり申し込み者が知ろうと知るまいと契約は成立します 契約が成立してるなら 通知に過ぎない承諾はなるべく早い方がいいわけです それに契約が成立してるのに承諾を到達主義にすると 契約は成立したのに承諾の効力は発生してないと言う不思議な状況になります そこで現民法では承諾は発信主義だと言われています
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