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自動車等販売者側の相手詐欺による取り消し 第3者登場善意軽自動車を含む実務
相手方詐欺で第3者が登場した場合第3者が善意であれば勝ち目はありません ただ指をくわえてるしかありません 軽自動車の場合も同じです しかしこの後自動車の場合 もし貴方が自動車を管理していても第3者に何もできません なぜなら対抗力が引き渡しではないからです 自動車の場合第三者が登録まですると第3者は対抗力を持つ所有権を手に入れます しかし軽自動車の場合動産であるため 第3者は引渡しを受けなければ 民法では勝てても 逆に不便するため元の販売者に引き渡すように迫ってくるでしょう そして元の販売者が応じなければ裁判等の手続きをとって来るでしょう しかし軽自動車の場合対抗力が引き渡しなので 所有権を証明する事が出来ません そこで第三者は自分の直接の販売者に裁判の協力を要求しますが 直接の販売者は裁判で自分の詐欺を認めなければなりません 詐欺を認めれば元の販売者に対して不利になるため 協力する事はありせん そこで軽自動車の第3者は事実上何もできなくなります 詐欺による善意の第三者と言うのは対抗力を得るまで強い立場ではありません しかし自動車の場合対抗力が登録のため 引渡しがなくても登録すれば第3者は絶対的な権利を手にいれます 直接元の販売主に引渡しのを要求してくるでしょう 登録を持つ側は仮処分とか簡単な手続きもできるため元の販売者は引渡しに応ずるしかありません
自動車等販売者側の相手詐欺による取り消し後 第3者登場善意無過失
悪質な購入者は詐欺による取り消しを受けてもすぐには返してくれません逆に開き直り売ってしまうでしょう こうなってしまうと詐欺の取り消し権は何のためかとなります そこがこの取り消しの怖い所で中途半端な取り消しは墓穴を掘る事になります なぜならこの後登場する第三者は対抗能力を備えないかぎり元の販売者に勝てませんが対抗力を備えてしまうと善意悪意を問わず元の販売者に勝ってしまうのです そこでこう言うケースが起こります Aと言う人がBと言う人に詐欺により自動車を売ったとします 詐欺による取り消しは形成権なので内容証明などで行使し 相手側が特に争わない限り成立します しかし登録は共同申請のため相手側が応じなければ相手にあります この後に第3者は現れると その第三者は善意でなくてもいいのです つまり取り消し権を行使したため第3者はかえって有利になります そこで内容証明などで行使すると相手の悪質さによっては取り返しがつかなくなります 軽自動車の場合もっと前に勝負がついてしまいます 例えば詐欺により売却された軽自動車を取り消し前に第三者が手に入れたばあい引渡しをされると第三者が善意無過失の場合 即時取得になるので もう元の売主は打つ手がありません しかし引渡しがなければ善意の第三者は権利をえますが それは観念上の権利のため元の売主に実務上対抗できないのです 自分の直接の販売者に協力を求めますが 詐欺をした人間は法廷にでたがりません そこで軽自動車の場合 引渡しさえしなければ実務上元の売主が負けることはほぼありません また取り消し権を行使したあと第3者が登場しても元の売主が引き渡しをしないかぎり 第三者は善意であれ悪意であれ所有権を主張できないのです 従って軽自動車の場合引渡しさえしなければ取り消し権を行使しても問題ありません このように登録制度が無いほうが詐欺から権利を保護されやすくなります これは自動車登録制度がなんのために存在するかわかりません 自動車を詐欺により売買した人間は取りけさなければ転売されてしまい 取り消せばかえって不利になる方が多いのです 逆に保護がない軽自動車の方が引き渡しさえしなければ取り消し権を行使しても問題がありません むしろ取り消し権は行使した方がいいです と言うのは占有改定と言う裏技があるからです ですから軽自動車の場合 詐欺にあいそうな場合引渡しをせず すぐ詐欺の取り消しをするべきです 一方自動車の場合 引渡しは応じてもいいが名義は渡さない 名義を移してしまった場合 取り消し権の行使は専門家に相談し自分で軽々しくやらない 法律は複雑です 特に取り消し権の場合メリットだけではなくデメリットもあるので 軽の詐欺による取り消しも専門家の意見を聞いた方が安全です
占有改定と指図による占有移転
今日から占有改定と指図による占有移転の話をします これは軽自動車売買についてはかなり重要な条文です まず民法82条占有改定 代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示した時は本人はこれによって占有権を取得する わけわかんないでしょう 民法は国語的には狂ってます つまりAと言う人がBと言う人に例えば軽自動車を売った時 物理的に車の管理をAがしたままでもAが占有改定に応じればAはBに引き渡した事になりますと言うことです フランス民法をそのまま持ち込むからこうなります で問題になるのは この占有改定と実務上みなされる可能性があるのが軽の届出に協力した場合です この場合名義変更は対抗要件にはなりえませんが 協力したばあい占有改定と見られる可能性があります 微妙なところですが 占有改定は意思が必要ですが 明示の必要はないと言う戦前の判決がありまして 戦後判決は譲渡担保において契約にその内容が含まれてると言うのがあります 戦前の判決は時代背景が違いますから影響が少ないですが 戦後に譲渡担保と言う特種な契約ですが この戦前の理屈を採用してるので そう言う解釈が今でも可能であると考えられます しかし この判決は重要判例とみなされていませんし 譲渡担保と言う一般の人はやり方もしらない契約者間の問題であり 普通の売買で採用されるかどうかはわかりません
占有改定と指図による占有移転2
もしこの形で占有改定が成立すると相手側は完全な所有権を手にいれます どういう状態になるかと言うと元の売主は所有権を失い 相手方のために軽自動車を占有する事になります このような状態になった元の売主を占有代理人と言います 軽自動車を借りているのと同じ状態になるのです まだこの段階であれば相手方詐欺の場合元の売主は立場が強いです 所有権は相手に移りましたが占有は観念的に相手に移っただけです 第3者がいなくて観念的にしか引渡しがされてない場合 詐欺による取り消しを行えば所有権は元の売主に戻ります この段階で元の売り主は自主占有になります もし元の売主ではなく借主が売買等により所有権を手に入れた場合簡易の引渡しと言う方法が必要になりますが 元の売主の場合詐欺による取り消しが成立すると<相手がたが詐欺でないと抗弁して手続きをした場合は別>所有権は元に戻りますから元の売主は自分のために占有することになり相手は占有権も所有権も失います 簡易の引渡しは必要ないと言うのが一般的判断です
占有改定と指図による占有移転 第三者登場以後詐欺による取り消しの効果
前回説明したように動産の引渡しには占有改定と言う方法があり戦前の裁判例において黙示の売主の合意による占有改定の成立を認め 戦後の裁判例において譲渡担保と言う特種な契約ですが黙示の占有改定をみとめています そこで販売者が黙示の占有改定に応じたと判断されたとします すると引渡しが終わるので販売者は軽自動車に関する全ての権利を失います しかし第3者が登場する前であれば詐欺による取り消しが認められば 所有権は元の売主に帰りますから あとは自主占有に換えればいいわけです 理論上はともかく詐欺で負けた方が占有は俺にあると観念闘争する事はないと考えられます しかし第3者登場以後は全然状況が変わります 第3者が登場しても2番目の売主<つまり元の売主からは購入者>は物理的に占有していないため こういう場合の引渡しの方法に指図による占有移転と言う方法によります この指図による占有移転は条文があいまいなため占有者が拒否した場合成立するかどうかと言う判断は難しいです<条文が占有代理人に対して命じると言う表現で承諾と言う表現ではない>が成立した場合 もし第3者が善意無過失の場合即時取得が成立してしまい こうなるともう詐欺による取り消しは通用しなくなります
占有改定と指図による占有移転 第三者登場以後詐欺による取り消しの効果2
では前回の条件で即時取得が成立しない場合どうでしょうか 善意無過失でない第3者の場合 即時取得は成立しません ただ指図による占有移転が成立する場合 第3者が対抗要件を備えてしまうので 取り消し権を行使した元の売主と第3者の関係は第三者が悪意でも2番目の売主を中心にした二重譲渡の関係になると考えられます この場合2重譲渡の場合の原則によれば対抗要件を備えた第3者に元の売主は勝て無いことになります ただしここに修正が働きます もし詐欺の共謀でなくても 詐欺と言う事を第3者が明確に知ってる場合第3者は刑法に触れる可能性があります また詐欺とまでは知らなくても取引になんらかの関与をした第3者の場合背信的悪意者になる可能性があります こうなると第3者は対抗要件を手に入れても元の売主に対抗できなくなります 判例はありませんが即時取得のように元の売主が第3者を相手に何も出来なくなるわけではありません 弁護士に相談できるケースです なお不動産においては詐欺による取り消しに対抗できる第3者は善意である事が必要で善意でなければ対抗できないと考えられています 軽は公証制度がないため この考え方が通用する保障はありません だから第三者が善意でなくても勝てるとは断定できません
占有改定と指図による占有移転 第三者登場以後詐欺による取り消しの効果3
もう一つのケースは民法の基本的ケースです 第3者が善意有過失である場合です この場合第3者が即時取得は出来ません しかし詐欺の第三者は善意でありさえすれば対抗力を備えなくても元の売主の詐欺取り消しに対して対抗できるので元の売主は勝てません しかし一番最初の売買の引渡しが占有改定の場合 裁判ではこの占有改定の成立するかどうかが検討されます<即時取得が成立する場合 第3者の主観が善意無過失と評価されればよく 元の取引は重要視されません>そこで徹底して契約が吟味されるため詐欺をした2番目の売主は裁判から逃げる可能性があります この場合第3者は原始取得ではないため詐欺の取り消しによる善意の第三者という権利構造が説明できません<即時取得の場合原始取得なので物証さえ揃えば成立してしまい 2番目の売主が逃げても第3者は即時取得を立証できる可能性が強い>そのため元の売主が物理的占有している場合詐欺による取り消しの善意有過失の第3者は 最初の売買の引渡しが占有改定である場合 法律的には勝てても泣き寝入りになる可能性が高いため 言い換えれば元の売主は安泰と言う事になりやすいです つまり詐欺による取り消し権に対抗する第3者は悪意 善意有過失 善意無過失で実務上 結果が変わり 同じ結果が生じても第3者の有利さが全然違います まとめると第三者が悪意であれば 背信的悪意であれば詐欺の取り消しに対抗できない ただの悪意の場合不動産取引なら 詐欺の取り消しに対抗できないが このケースが適用かどうかわからない 最悪の場合でも第三者と元の売主は対等の関係になる 第三者が善意の場合 いずれも第3者が有利になるが善意無過失で即時取得が成立するか 条件がそろわず単なる善意の第3者かで実務上の有利さがちがうと言う結論です あすから詐欺取り消し権行使後の第3者の登場を話します<最近の学説では詐欺取り消し前の第三者は即時取得を出来ないにかわりつつあります しかし盗品についても即時取得を認めてるため詐欺や強迫を例外にする根拠がありません 判例は即時取得そのものの判断をせず96条3項を優先させるというあいまいな態度でした>
自動車等販売者側の相手詐欺による取り消し後第3者が出た場合
前にもすこし触れましたがあらためて判例に基づき説明します 自動車等販売において詐欺による取り消しが行われたあと第3者が出現した場合対抗力を先に手に入れた方が所有権を手に入れます 自動車は登録 軽自動車は引渡しです 詐欺取り消し以降の第三者は詐欺の第三者の保護は受けられませんが 善意である必要はなくなります 詐欺による取り消し権者と第3者の関係は詐欺をした人間を挟んで二重売買の関係になり名目上は対等ですが 実務的には第3者が圧倒的に有利になります と言うのは この状態の場合詐欺をした人間が名義をもち また占有しているため元の売主が詐欺による取り消しをしても名義を復帰している事はありません<観念的に所有権が戻るだけ> そして第三者であればいいため 例え予告登録をされていても意味をなさないと考えられています そこで自動車等の詐欺の取り消し権は現状では使えないと言う結論になります しかし第3者がただの第三者が悪意の第3者を越えた背信的悪意者のばあい 第三者として評価されないため取り消し権を対抗できると考えられます
背信的悪意者
元の売主の対抗力がない状態でも それを主張できない第3者 それが背信的悪意者です この背信的悪意者排除論と言うのはほとんどの国で採用され今や法律的常識ですが この背信的悪意者 具体的にどんな物かと言うのは基準が明確ではありません そこで裁判例でそのような扱いを受けた第3者の特徴をいいます まず元の売主との間になんらかなの信任関係がある事 単なる元の売主の知り合いではだめです 元の売主と関係がなければ どんな悪質な社会的背徳性があっても 例えば社会的に高いモラルを要求される弁護士でも背信的悪意者にはなりません と言うのは背信と言うのは社会に対する背徳性ではなく当事者に対する信頼違反だからです 具体例としては登記を委託された司法書士 取引の仲介にたった業者等ですが 詐欺側とズブズブの人間も仲介者に準じてこれに含めようと言う考え方もありますが詐欺をされた人間との間に信頼関係がない場合認めるのは難しいでしょう 背徳性ではなくて当事者に対する背信性が基準になります
自動車等販売側の第3者詐欺による取り消し権の行使
基本的な詐欺の取り消し権の構造は理解できたと考えまして 応用編に入ります 今回は第三者による取り消しについて説明します これはもともと複雑になるので具体例を示しながら説明します 例えば自動車等の販売者をAとします そして購入者をBとしますが もう一人詐欺者Cが加わります 実務的に言えば何の利害のない第3者のため詐欺までやる人はいません しかし実際にはこのケースは起こっているので用心しなければなりません 法律の世界ではありえない事も起こるのです つまり人のために詐欺をする事でなんらかの利益を得る立場の人が居ると言う事なのです さてAさんがCの詐欺による取り消しでBさんに自動車等を売った場合詐欺による取り消し権の行使は詐欺があった事だけではなくBさんが詐欺の事実を知っている事が必要になります Bさんの立場からすれば自分は普通の取引をしたのに自分の責任でない事で取引が駄目になると言うことは我慢できません そこでAさんもかわいそうだけど Aさんが騙されたからBさんが迷惑をかけられたのだからBさんを保護しましょうと言う考え方です そこでこの場合Aさんは取り消しが出来なくなり 引渡しや登録がすんでなければ応じなければなりません この取引の当事者の善意度ですが善意であれば過失があっても構わないと解釈されています しかし第三者ではなく当事者なので保護のしすぎと言う人達もいます そこで現民法においては相手方は善意ですが民法改正では相手方が善意無過失でなければ第3者詐欺でも取り消しが出来ると言う事に変わります
自動車販売側の強迫の取り消し権
自動車を販売しても強迫された場合取り消し権があります しかし強迫の場合主観的なものであり そのため逆に強迫とは何か決めてあります 刑法上の脅迫とは違いますが 脅迫であれば強迫になると考えられます 民法上の強迫とは 暴行 監禁 害を加える旨の告知 それにより人に恐怖を抱かせ 行動を支配する事を言います 裁判例に基づき3つの独立した要件が必要になると考えられています 第一の要件 ある者が表意者に対して強迫を行う事 これは間接的でも 明示でなくても構わないと考えられています 例えば親族に対して強迫する事も含みますが その場合その脅迫により 取引が確実に影響を受ける因果関係が必要になります また正当な行為でも強迫とみなされた裁判例も戦前にありました 第2の要件はその行為等により相手が畏怖させる事です そしてこの行為は故意でなければなりませんが 故意か過失かは客観的に決まります そして最後の要件は 畏怖により相手が意志表示に及んだ事を必要とされますこれを法律用語で因果関係があると言います そして付け加えると手段の不法性と言うのもありますが 正当な行為も強迫であると言う戦前の裁判例があるため 3つの条件で成立するでしょう さてこの強迫が成立すれば取り消し権が発生します
自動車等販売側の 強迫による取り消しと第3者
強迫による取り消しの場合 契約の意思の形成そのものが完全なものではないと言う観点<意思表示に瑕疵があると言います>については詐欺と同じですが二つの点で詐欺とは異なります 同じ条文に書いてあるからと同じに考えないで下さい まず一つ 瑕疵ある意思表示をした側に契約締結上の責任<契約者が当然負うべき危険負担>が無い事 2 契約の成立に必要な当事者の実質的合意がない事<詐欺の場合どこまで合意がなかったのか判断が難しいが強迫の場合契約を結ぶ意思そのものに実質的合意がないため 無効にきわめて近い状態である> このような理由から第3者に対しても 詐欺当事者に対してのような取り消し権を主張できます しかし問題は軽自動車です つまり第3者の即時取得の場合です 強迫された軽自動車が善意無過失の第3者に引き渡された場合 強迫の場合でも即時取得ができます しかしこれでは第3者にも対抗できると言う強迫の取り消し権の意味がまったくなくなるので 卵は鶏を選べないの原理 つまり時系列の前の人間は時系列の後の人間に影響を与えるが その逆はないため原則同じ条件の場合法律は後の人間を保護する と言う普遍原理を適用するのはおかしのですが 強迫の取り消しにも即時取得は適用されます
自動車販売側の第3者強迫取り消し権
この前と同じように事例で説明します 自動車等の売主をA 買主をBとしますAがCから強迫を受けて自動車をBに自動車等を売ったばあい 詐欺とは違いBが強迫について悪意である必要はありません これは判例がないのですが 第三者詐欺にのみ当事者の善意が除かれてることと強迫による合意そのものに対する成立の不安定性から 強迫された者を保護する必要性があるからです またあくまで当事者でああるため 第3者保護のルール 卵は鶏を選べない法則はあてはまりません
自動車等販売側 第3者登場以後脅迫取り消し
詐欺による取り消しは取り消しを認めながらも第3者が登場すると 卵は親を選べないの原則から 善意と言う条件はあるがかなり第三者に有利になっているのは勉強しましたが 脅迫の場合はどうでしょう じつはいかなる第3者にも対抗できるのです と言うのは原則契約は取り消しにより遡及効と言うのがあり 元に戻ります つまりAと言う人がBと言う人に脅迫され自動車等を販売して 第3者が登場した後でも取り消し権を使えば 遡及効により Bは無権利者になり第三者は無権利者から購入した事になり もし登録しても その登録は無効になります そして脅迫には第3者の保護条件がないため例外なく無効になります そこで第三者は善意でも元の売主に対抗できません この場合対抗力の有無は関係ありません 自動車の場合 この原則が貫かれます 自動車は無権利者からは買えません 取り消し権が行使されればBは遡って無権利者になってしまうのです
自動車等販売者の第3者登場以後強迫による取り消し2
強迫の取り消しは原則が貫かれるため 契約の前の時代に遡り つくられた法律関係を否定できる だから強迫の取り消しさえ認められば自動車の場合は第3者の登場を恐れる必要はありません なざなら第3者は無効の登録を得ただけだからと言うのは前回説明しました しかし軽自動車の場合はどうなるでしょうか おわかりですね 軽の場合即時取得の問題があるのです 軽の場合無権利者からの購入も 極端な場合泥棒からの購入でも成立しますから もし強迫でなければならないとなれば泥棒との間に矛盾がでます 条文判例はありませんが即時取得が成立するかしないかについては争いがありません したがって第3者が善意無過失で脅迫者から引渡しを受けたら強迫された元の売主は所有権を失います <民法改正の趣旨から即時取得が成立しないと言う流れに変化しています>
自動車等販売者側強迫取り消し以後第3者登場
詐欺の取り消しは第3者に優遇措置がありました それは詐欺の場合は卵は鶏を選べないと言う論理が働くからと条文にも第3者保護が謳われてるからです しかしこの規定は基本契約の当事者とそれに基ずく第3者と言う関係です この場合第三者は買った時点では権利者から買っていますが 取り消し権行使の後については無権利者から買う事になります 取り消し権の行使前は権利者から買いました 取り消し権以後は第3者は無権利者から買う事になります しかしこの場合取り消し側にも責任の一端はあるので詐欺の取り消し権行使以後の第三者と同じ扱いをします 元の売主と第3者は対等になります そこで民法177条が採用され対効力を得た方が勝ちますから実務上は第三者が勝ちます 理由は強迫した側が元の売主に協力しないからです
自動車等販売側の強迫による取り消し以後第3者登場2
つぎは軽自動車の場合検討しましょう 今まで勉強してきたので予測はつくと思いますが おさらいの意味でやってみます まず強迫によるとりけし以後第3者が現れた場合です これは自動車の場合と同じです 無権利者から第3者は買いますが卵は鶏を選べないの原理により元の売主と第3者は対等になります この場合は自動車と同じで先に対抗要件を備えた方が勝ちます しかしここで気をつけなければんらないのは軽自動車は対抗用件が届出ではありません 引渡しですから 先に引渡しを受けた方が勝ちます しかし実務では第3者が勝ちます その理由は前と同じです
自動車等販売者側強迫による取り消し以後第三者登場3
最後に軽自動車にのみ起こるケースの場合 もうおわかりですね 即時取得の場合です 軽自動車は動産なので第3者が善意無過失で引渡し <第3者は取引でなければなりませんが>た場合 第3者が本権<通常は所有権>を取得できるルールです 公証制度のない<動産登記は不動産のような公証制度ではない なぜなら引渡しの別パターンに過ぎないから>動産にのみ採用されますが軽自動車の届出は公証制度ではないので 軽にも採用されます おさらいになりましたが 軽自動車の話の時出てくるのでしっかり覚えてください さてこの主題のケースの場合即時取得は成立するでしょうか もちろんします これは対抗関係を考えず素直に考えれば答えは出ます すこし分解してみましょう AさんがBに強迫を受けて軽自動車を売り引渡しました Aさんは強迫による取り消しをしました この時点でBは無権利者なのにBは善意無過失のCさんに軽自動車を売却して引渡ししました これによりCさんは即時取得を成立できます なぜならBが無権利者だからです 即時取得の要件さえそろえば 前の状態はどうでもいいんです 泥棒の物まで即時取得が成立するのですから 即時取得の要件 公証制度のない動産 無権利者から取引により善意無過失で引渡しを受ける この条件さえ揃えば 前の事は考えなくても即時取得が成立します
自動車等販売契約無効
自動車販売無効と言う場合もあります 無効と言うのは原始無効と言われる最初から無効のみを今回は取り上げます 無効については当事者を元因とするばあい 契約そのものが無効である場合 契約につけた条件が無効である場合等様々な物がありますが 自動車の売買において問題になるのは強迫により意思の自由を完全に奪われた場合が一番多いケースです ご存知のように強迫により自動車等を売買した場合取り消し権を持ちます しかし取り消し権があっても取り消し権を行使するまでは契約は有効です 従って取り消し権前に行われた強迫した側と第3者の取り引きはその時点では有効で取り消しにより遡って無効になります 強迫の場合第三者に対抗できますから最初から無効と この時点では結果は同じです しかし強迫の取り消しは取り消し権以後の第3者の立場が強くなります 取り消し権以後は強迫者を挟んで二重譲渡と同じ関係になり 先に対抗要件を備えた方が勝つと言う事は前回説明しました しかし原始無効の場合取り消し権を使いませんからこの状態はありません そこで取引が原始無効の場合後の状態がどうなろうと強迫された側は一つの例外を除いては勝てます まず自動車の場合はどのように転んでも原始無効が成立する場合恐れるものはありません<実務的には裁判になるでしょうが>しかし軽自動車は違います 例外があるのです お気づきでしょうが即時取得の問題があるのです 第三者が強迫した相手から取引により善意無過失で軽自動車を手に入れ引渡しを受けたばあい 第3者が即時取得により軽自動車を手に入れてしまいます これが原始無効の場合の例外です<詐欺や強迫の取り消しの場合古い判例では取り消し前の第3者の場合即時取得を肯定しませんでした そこましなくても解決できる問題だったので>
自動車等販売権利無能力者取り消し
今まで紹介したのが取引上の問題により取り消し権が発生し 取り消し権の発生原因とその取り消し権の行使 第3者の関係を見て来ました 代理の説明に入る前に復習をかねて販売者の無能力の取り消し第3者との関係を勉強しましょう 取り消し権全般を理解していれば苦労せず頭に入りますから心配いりません 無能力者全般の取り扱いをまず頭に入れてもらいます 詐欺等の取り消し権と比較しながら頭に入れて下さい まず基本です自動車等売買の販売者の場合取り消し権があります 取り消し権を行使できるのは以下の通りです 無能力者が未成年者の場合 未成年者本人 法定代理人です 未成年者は原則20未満 しかし婚姻を有効にしたものは成年者です 法定代理人とは親権者と法定代理人です 親権者が結構厄介ですが戸籍をみればだいたいわかりますので今は説明を省きます 法定代理人とは未成年後見人と言う立場の人を言います 戸籍を見れば誰かわかります この人達が取り消し権を行使します つぎ被後見人については 被後見人と法定代理人です 法定代理人は成年後見人と言います 被補佐人の取り消し権は被補佐人と補佐人にあります 被補助人については被補助人と補助人にあります 取り消しできる内容は各無能力者で違いますが 今回は割愛します 取り消しにより効果は遡って無効になるのは詐欺等と同じです
自動車販売者側第三者登場以後無能力取り消し
自動車販売側が第3者登場以後無能力取り消しの場合 相手がどんな第三者でも無能力の取り消しは対抗できます これは判例がないのですが詐欺の場合と違って第3者保護事項がないこと 権利無能力者制度の趣旨から言って争いはありません ですから販売側が無能力者の場合自動車なら登録があっても無効登録です では軽自動車の場合どうでしょうか 即時取得の問題です 今まで取り消し前の第さん3者は即時取得と言う見解でした しかし 32年にはっきりではありませんが詐欺の取り消し前の第3者の即時取得を否定したこと 有名民法解説書からも 記述が削除された事から 即時取得の可能性に留めます 軽自動車の場合即時取得の可能性があります
自動車等売買と代理
本来なら合意契約解除の説明をすべきですが自動車等の合意契約解除と言うのは例が少なくあと廻しにします それより最近はネットでの売買も多く出品代行と言う特種な商売も多く 売る側も買う側も新たなトラブルに悩まされています そこで代理 委任 代行についての基礎や その人間が入った時の権利義務の関係を抑えておきましょう 暫くは理論的な話も入ります ではまず代理とは何か 理論は兎も角 代理人を間に立てると代理人の行動の決定で当事者の間に権利と義務が発生します 人が間に立つ場合代行等がありますがその場合はその人間の決定では両者の間に権利と義務は発生しません このような力を持つ人間を代理人といい 当然特定の人に対しその権利を法により与えられる人を法定代理人と言い 契約でそのような力を与えられた人間を任意代理人と呼び 契約でそのような力をあたえる事を代理契約と言います
自動車等売買と代理等2
今回はまず任意代理からはじめます 法定代理の問題は無能力制度とかかわってくるため複雑になり代理本来とは別に個別に検討したほうがいいからです では任意代理に行きます 前回代理とは代理人の決定により権利義務が生じると言いましたが権利義務が生じない代理関係もあります 事実行為の代理と言うのもあります しかし大概は権利義務がしょうじますから それは具体的に出て来た時説明します まず代理のタブー2つを説明します それは自己契約と双方代理の禁止です 自己契約とほ当事者の一方が相手方の代理人になることです 例えばAと言う人がBと言う人に自動車を売るとしましょう この時AはBの代理人になることは出来ません 代理人は意思の決定が出来ますからAに有利な決定がされてしまうからです 自動車売買の場合Aが販売の場合Bにたいして高額に売りつけることも可能になります 双方代理の禁止は同じ代理人を当事者が選んではいけないと言うルールです 例えば自動車売買で言うとAと言う人がBと言う人に自動車を販売する時Aが代理人Cを立てたとき BはCを代理人に専任してはいけないと言う事です 理由はCがどちらかに加担したとき前と同じトラブルが起きるからです CがAに加担するとBに高額で自動車を売りつける事になりBに加担するとAは安値で買い叩かれてしまう可能性があるからです
自動車売買と代理3
しかしこれには例外があるのです 登記と登録はのぞかれます 理由は難しいので覚える必要はありません 理屈を覚えなければならないのはいろんな局面に発展する可能性があるからで そうでなければ その事例だけ覚えればいいんです 実際この2つ 実際にはこの二つだけではないんですが それらが除かれる理由は理路整然としてません しかし自動車の関係では登記と言うと不動産ですから 登録 届出と言った手続きだけは確実に例外になってますのです もしこれが例外になっていなければ陸運で行われる登録のほとんどが蹴られてしまうでしょう このようにごくまれに自己契約 双方代理の禁止が認められますがほとんどの場合自己契約と双方代理の禁止は認められません では次は代理の効果の説明に移ります 代理人を間において契約をすると代理人の決定により生じた権利義務を原則本人がおいます 事例をあげてみましょう Aが自動車等を間にCを立ててBに販売したとします すると原則Aが満足する条件でなくてもAとBとの間に売買契約が成立して Aは自動車等の引渡しと登録等への協力 Bは対価の支払いをおう事になります
代理人になれるもの
代理人になれるものは原則誰でもなれます じゃあ実際業務を行う事ができない子供が選べるかと言うと難しい問題があります しかし実務では考える必要はないでしょう 大事なのは無能力者を選んでもかまわないし 無能力者のやった契約も無能力を理由に取り消す事は出来ません なぜなら例え契約の判断が甘く損をこうむる事になっても それは代理を立てた人間が負う事であり 代理人は責任をおわないからです このように代理人に付いては通常の契約とは別の基準がある事を覚えてください 例を挙げると 自動車等販売においてAがBに対して代理人Cをたて自動車等を販売する場合 たとえCが無能力者だとしてもAとBの契約は有効に成立してAには自動車等の引渡しと登録への協力義務が発生して Bには対価を払う義務が発生します
委任契約
代理は委任契約の一つの類型です 委任とは何かを人に頼む事です その委任契約の中で決定権を受任者に任せる物を代理と呼び それを任せてもらった受任者を代理人と呼び 任せた人間は委任者と呼ばれます 受任者は代理人と呼ばれたり受任者と呼ばれたりしますが委任者は被代理人と呼ばれることはありません 代理はそのため初学者は最初は混乱すると思いますが受任者と代理人とは同じだと とりあえず考えて下さい 勉強している内に頭が混乱しなくなります また代理契約と言う言葉もあまりつかいません 代理関係でも委任契約と言う言葉を使います 慣れれば混乱しなくなりますので一つ一つ事例をこなして行きましょう
委任契約<代理契約>の注意
任意代理の場合代理権は委任契約によって代理人に与えられます 法定代理人の場合原則法定されています そして任意代理の場合代理人は委任された範囲しか仕事はできませんし当然代理権もありません そこで代理権はより具体的に細かく特定するほうが好ましいです 抽象的だったりすると大幅な代理権を代理人に与える可能性もありますし後で説明する表見代理発生の原因になりますし 場合によっては委任事項が特定できないと代理契約が無効になる可能性もあります
無権代理
無権代理人とはそもそも委任契約がなかったり 委任契約が無効だったりの代理人の事を言います それ代理人じゃないじゃん そうです代理人ではありません しかしこの無権代理と言う言葉は学説にも判例にも堂々と出てきます なぜでしょうか 気がつきますね 卵は鶏を選べない原理 つまり代3者等が絡んでくるからです この無権代理と言うのは最初から無権と言うのもありますし 途中から取り消し 解約 そして代理権独特の問題として消滅もあります どのような無権代理かにより法律の扱いも違いますから 大変面倒な問題を含みます 実体がないにもかかわらず実務に大きく影響を与える用語ですので意味内容をしっかり理解して下さい と言いましても実例が出ないと個性がわかりません またこの言葉が出てくる時は必ずトラブルが起こっていますので そのトラブルの内容を頭に入れる事で個性がわかってきます 今の所は代理人の中には理論上無権代理と言う物が実体はないけど存在するのだと頭に入れて下さい
表見代理
無権代理の一つです しかしただの無権代理とは違います 代理権がないにもかかわらず 代理権と同じ効果が生じてしまうのが表見代理です 理論的に説明してもイメージがわきにくいので普通の無権代理と実例で比べてみましょう まず通常の無権代理です Aと言う人の自動車等をCと言う無権代理人がBに販売した場合 原則AとBとの間には契約は成立しません しかしこのケースでCが表見代理人であると契約が成立しますと Cには代理権がないにも関わらず代理があったと同じ効果が発生してしまいます このような効果が生じる代理人を表見代理人と言います 民法は類型を決めてありますが この類型にはまらなくても表見代理は発生しますので 今から言う理念を頭に叩き込んで下さい まず一つ無権代理人であるにもかかわらず その無権代理人が あたかも特定の人<法人を含む>の代理人であるような外見を持ち その外見が存在する事に対する 特定の人の責任がある事 そしてその外見を信じた人<法人を含む>が無権代理人だと知らず その代理人を あたかも本当の代理人として契約してしまった事を言います 無権代理人と契約した人は善意無過失でなければなりません 実例で説明しましょう Aと言う人の自動車等をCと言う無権代理人がBに販売しました しかし Cと言う代理人はまるでAの代理人のような外観を持っていて その外観が存在する原因の一端はAにある場合 そして自動車等を買ったBは過失なくCがAの代理人だと思い込んだ場合です 注意ただしCに外見がある事の一端がAが元因でも全て表見代理が成り立つのではありません 司法の判断です
代理権授与の表示による表見代理
うっかりの典型が この代理権授与の表示による表見代理です これは代理人でない人間に委任者が代理権を与えると言う表示をする事ですから そんな馬鹿な と思ってしまうのですが 実務的にかなり多く 条文でもトップに書かれています 基本的に代理権を相手に対してあるような行動より そうしたと見なされるパターンが多いです こんな事ありえないと 学習者が勉強しないので けっこうこれにひっかかります 例えば名義貸し 口座貸しがこのパターンになる可能性があります 気をつけて欲しいのはこの代理権の発生は委任者が相手方に対して 代理権を与えたと宣言する必要はありません 委任者が行った特定の行動のため相手が勘違いしてしまうと発生の可能性があります だっからうっかりで起こってしまう事です ネット社会では一番起こっていて これからも色んなパターンで起こって行く表見代理です
代理権消滅後の表見代理
前回がうっかり型の表見代理なら今回はルーズ型の表見代理です 成立要件は かつて代理人にちゃんと代理権を与えた事実がある事と 今回もその代理が行われた事の範囲内で代理がなされた事です そして相手の善意無過失と言うのが必要です 実際実務では伝統的にかなり多いタイプです 日本の取引慣行から考えると 最初に代理権を確かめる事はあっても 次回も代理権を確かめる事はありません そういう中で どこまでかつて代理権を否定できるか そのためにどこまでやらなければならないのか かつての代理による相手方は今回代理権を確かめない事が過失になるのか 大変難しい問題があります この問題は法定代理でも生じるのです かつて親権者だが今は親権がない 法定代理の場合代理権授与がありえないので一緒には考えられませんが実務的に似た状況が発生します 法的効果は違うので深入りしませんが さて裁判例を見てみましょう 裁判例ではこういう事実を代理権消滅後の表見代理として成立させています Aは一度Bを代理人に選びCと取引をしました このあとBとの委任関係は終わりましたが もうCと取引しないと考えたAはCに対してなんら連絡をしませんでした ところがCから紹介を受けたDはBが代理人であると善意無過失で勘違いしてBと取引をした場合裁判所はBの代理権消滅後の表見代理の成立を認めています つまりかつて代理権を与えた相手でなくても 代理権消滅後の表見代理を主張できると言う事ですのでお気をつけ下さい
権限外の行為の表見代理
これは聞いてないよの表見代理とでも言うべき表見代理です この条件は前2者と違いなんらかの代理権を実際に代理人に与えてる事が条件になります これを基本代理権と言います この基本代理権を代理人が超えた代理を代理人が行い その相手方が善意無過失の時この表見代理が起きるのです 基本代理権の範囲があいまいだと起こる現象ですが あいまいだと正式な代理権が成り立つため 代理行為が行われ それが正式な代理と当事者が認めない場合 まず代理権として成り立つ解釈され 代理権と解釈できないとき 次にこの権限外の行為の表見代理の成立を検討されます これは法定代理人にも検討され その場合の基本代理権は法定の代理権になります 任意代理でのこの代理権の代表的なのが基本代理権が賃貸 代理権外の代理の内容が売買です つまり貸す代理を頼んだら代理人が売っちゃったと言うパターンです だから聞いてないよの代理権です この表見代理が成立しなくても 代理権授与表示による表見代理が成立する場合もあります
表見代理について代表的判例
表見代理については様々な判例がありますが不動産において出された平成18年の判例はシンプルで最も自動車にも適用できる判例です 表見代理全体の理解のしめくくりとして示します これが1タイプか3タイプかについては争いがありますが そんな事も考えながら読むと表見代理に対する理解が深まります 簡略しますと委任者はA代理人はX 相手をBとします ここで判例では不動産登記をAが手に入れるのですが それだと初学者の理解力では表見代理としての結論を理解出来ないのですこしケースをいじりましたが同じ結論になるとかんげられます そこで事実は判例とは少し異なります XはAに対して自己所有の不動産の賃貸の代理権を与えました この時エックスはAに対し経費を渡しました それである人間と賃貸契約が成立します するとAは諸経費を返すため権利証を貸してくれと言います Xはうっかりそれに応じます Xのうっかりはそれだけではありません 賃貸の代理をAにする時白紙委任状を出してしまいました ここから判例とは違う流れにします 判例に興味のある方は18年最高裁で見てください AはまたXを騙します 賃借権を登記するため印鑑証明書をおねがいします 賃貸人が望むならとXは印鑑証明書もAに渡します するとAはBにXの土地を売買して だまして手に入れた道具を使いBに登記をしてしまいます この場合判例の理論に従うとAの表見代理が成立します
無権代理人の責任を含む無権代理の当事者関係
無権代理のうち表見代理が成立しないと代理権が発生しません しかし実務上当事者の間に不安定な関係が存在します この関係を断ち切るか安定させないとまずい事に繋がります そこで法は当事者に権利と義務を与えて事態の処理を望んでいます まず追認に付いて説明します また具体的事例で説明しましょう Aの自動車をBが勝手にCに販売してしまいました この場合Bに表見代理が成立しない場合本来Aには表見代理が成立しない場合なんの責任もありませんが もしAに何らかのメリットがあるなら契約を活かす形で持って行けるだろう Aは勝手な事を迷惑したのだから 権利だけなら与えてもいいじゃないかと言う事でAにはまず追認権と言うのが与えられます Aはこの追認権を行使する事で当事者の中に参加する事が出来ます
無権代理人の責任を含む無権代理の当事者関係2
無権代理された人が追認すると契約は代理された時に遡って有効になります これはなされた契約であり代理人と認めると言う事ではありません わけて考えて下さい また条文では第3者の権利を害する事が出来ないとありますが この部分はあまり神経質になる必要はありません 契約が無効になると迷惑がかかる人がいても契約が有効になり迷惑がかかる人はあまりいません さて このように無権代理をされた人がポジティブに動いてくれると大団円ですが 無権代理された人が態度をはっきりさせない場合もあります 本人には義務はないですから しかし無権代理と言うのは無効ですが 契約そのものに無効の要素があるわけではありません こういう場合法律は起こった事実を法律的に成立させようとします つまりおせっかいをしてくるのです そのおせっかいの一つが無権代理された人間の追認権です しかしお節介をしてほしいのは無権代理をされた相手も同じです そこで無権代理の相手に催告権をあたえました これを行使する事により別の方向から大団円にしようと言う法律のお節介です
無権代理人の責任を含む無権代理の当事者関係3
無権代理人とされた本人と無権代理の相手方の関係はかなり複雑なので一つ一つ整理して理解して行きましょう さて前回説明したように無権代理人の相手側には無権代理をされた本人に対して追認するか否やの催告権があります しかし権利といいましても無権代理人をされた人間はもともとの権利から不利になることはありません なぜなら無権代理は無効だからです 勝手に無効な行為をされた人間が相手方の選択により元々の権利を侵害される事はあってはならない事なのです そこで無権代理の相手方がどんな選択をしても本人の基本権には影響がありません しかし無権代理をされる事により無権代理の本人は法律のお節介を受けています これは本人の基本権ではなく 無権代理をされた事による特権です 無権代理をされた相手方の催告に対し本人が追認をしなければ 本人は追認が出来なくなります 言い方を換えると取り消したとみなされます しかしこれは無権代理をされた本人の基本権を侵害することではありませんから 本人は無権代理をほっておいても<表見代理につながるような行き過ぎた放置がないかぎり>不利にはなりません この三者の関係は無権代理をされた本人の権利義務を過大に考えるとわからなくなります どんなに無権代理が複雑になっても本人表見代理が成り立たないかぎり 本人が影響を受けるのは無権代理により手に入れた特権の部分だけなのです