相続人の資格相続17
古美門は言いました 次郎さんはおいくつでしたっけ 重雄は言いました 35歳です 古美門は言いました でしたら 女性とまったく関係した事がないとは そういうプロもいるわけですから 重雄は言いました ここは第2種住専ですから そういった商売は なあ 富子 富子は言いました そうですね でもね あたらしく出来た公団 あそこの主婦がやってると言う噂があるのよ 重雄は愕然としました そんな富子確かなのか 富子は言いました なんであんたが興奮するのよ あっあんた 最近かつらを新調したと思ったら 年甲斐もなく そう言えば あの前を通る時バラの植えてあるベランダを盗み見るからね 重雄が言いました ばかな事をいうな 私がいつ ベラのバランダを見たと言うんだ 富子は言いました ほら間違えた 狼狽してる証拠ね バラのベランダ ちゃんと言いなおせ 重雄は言いました バレのラベンダ あれ ベロのボランダ 富子は言いました ほら狼狽してる ちぁんと言い直さないと今日は食事抜きだから 古美門は言いました 御修羅場中申し訳ございませんが ここに風俗店がないのと次郎さんが女性と関係した事がにないのとどう繋がるのでしょうか 重雄は言いました あっ言い忘れました 次郎は生まれてこのかた この家を中心した半径3キロの円周上より先に行った事がないのです なあ富子 富子は言いました 話題そらして でも本当の事です それでも ほら5歳の時風船を追っかけて川向こうまで 重雄は言いました その風船が川に流れて 泣いてまして 私がたまたまとうりかかって とってやったんですがね 富子が言いました この人その時鬘を風にとばしちゃって 大損害だなんて 重雄は言いました そんな事のあったな富子 重雄は富子の体に手を伸ばしました 富子はその手をはたいて言いました ちゃんと言いなおさないと今日はごはん抜きだから
相続人の資格18
古美門は言いました にわかに信じがたい話ですが理由があるのですか 重雄は言いました 原因は兄が次郎が幼い時に言った冗談ではないかと言っていました 服部は言いました どんな冗談ですか 重雄は言いました 3キロの所には境があるんです 南は県道 東は橋 北は踏み切り 西は上り坂 兄はこういってしまったんです この境を越えた所に住んでる人間達は心が汚れていて他人をねたんだり だましたり とても怖い人達だと だからお前はここから出てはいけないんだと 服部は言いました また極端な話ですな 重雄は言いました 兄としては次郎のわがままに釘を刺す程度の気持だったのでしょうが その日から次郎は境を越えなくなりました 最初は越えなかったんですが だんだん越えられなくなったんです 服部は言いました 越えられなくなった 古美門は言いました 柴さん 次郎さんはもともと対人恐怖症気味ではなかったですか 重雄は言いました 確かにそう言うところはありました 古美門は言いました 幼児期のトラウマになってしまったようですね 医師には見せたんですか 重雄は言いました そうしたかったようですがなにしろ半径3キロなので 鞠子さん 次郎の母親ですが そう言えば葬儀以後鞠子さんの姿みないな 富子は言いました 葬儀に来られなかった遠くの親戚に報告に行くって 重雄は言いました とまりがけに行ったにしても帰って来ていいだろう 富子は言いました 次郎ちゃんが言うには一度かえってきて またいつのまにかいなあくなったそうよ 古美門先生鞠子さんがいないと困りますよね 古美門は言いました 当面困るのは次郎さんです 預金の凍結sれてしまいますから 遺産分割協議の前に預金を下ろす審判をすると原則鞠子さんの協力がなければ まあそれは銀行側の対応はそれほど厳しくないですが このまま7月の新法に突入すると銀行側はっきりした新法にあった手続きを要請するでしょう いずれにしても鞠子さんなしでは遺産分割協議は無効になりますし 重雄は言いました それは次郎はかわいそうだ 古美門は意外な顔をしました かわいそう 重雄はすこし狼狽しました あくまで叔父として同情しただけです
相続人の資格人19
古美門は言いました まあいいでしょう かわいそうなら手を引けとはいいません しかしこの時点でかわいそうと言うのは違和感があります 別の意味を含んでいるともとれるのでね 重雄はどきっとした顔になりました 古美門は話をかえました しかし困りましたね 裁判の時に次郎さんが出廷できないのは 不出頭の不利益は次郎さんが負うのですが事実上証拠の採用とかで制限がかかります 自由な訴訟はむずかしい 電話会議システムの適用の検討をしてもらうとしても 本人が自宅から半径3キロ以上移動できないと言うのを裁判所が同意してくれるか 医師の診断書もとれそうもないし 相続問題は裁判所が訴訟代理人がいても事実を本人から確かめたがるんですよ 判事が別府だったら殴りころしてでも連れて来いと言うだろうな 服部は言いました 彼女でしたらありえますね 古美門は言いました 35歳童貞か それだけじゃ出廷できないいいわけにはならないよな ところで童貞証明書ってあるのかな 服部は言いました さあ聞いた事はありませんが 古美門は言いました 処女の証明って産婦人科でだすんだよね すると童貞の証明は泌尿器科 服部は言いました 案外肛門科かも 古美門は言いました 服部さんそれは別の童貞でしょう 服部は言いました 世の中表もあれば裏もあると申しますから
相続人の資格の20
古美門は言いました つかぬ事をお聞きしますが柴さん 被相続に対して債権を所持してると言う事はないですよね 重雄は言いました 債権ですか 古美門は言いました そんなおおげさなものでなくてもいいんです ちょっとお金を立て替えていたとかありませんか 重雄は言いました ありますよ なくなるすこし前ですが二人で市街に出たんですよ 兄貴の車でね その時に車上泥にあいまして 兄貴はボードの中の財布とカード入れをやられてしまい 取り寄せの釣竿をひきとりに来たため 取りに戻ると言うので私が立て替えました 古美門は言いました 借用書のようなもの残してないですよね 重雄は言いました 私はいいといったんですが兄貴がはっきりさせたいと 一筆書いてくれたんです そのうちああなりましたから 古美門は言いました その書類すぐ出ますか 重雄は引き出しをあけて封筒を取り出した 古美門は言った 失礼します 古美門は封筒を開け中身を見ました 古美門は少し表情がかわりました 古美門は言いました 柴さん 義男さんとあなたはお母様も同じですが 重雄は言いました 普通の兄妹ですが 古美門は言いました よしおさんとの間に金銭トラブルがあったとか 重雄は言いました いいえありません 古美門は言いました ではあなたがこのように書いてくれと指示した事は 重雄は言いました それもありません 古美門は書類を見たり重雄の顔を見たりしました
相続人の資格相続人21
一方こちらは母屋の方です 青島が買い物を終えて帰ってくるとみんな散らばっていました 小鳥遊は家具や掛け軸の前で電卓を叩いてました 青島は首をかしげて娘とメールしているやめ検にたずねました 何やってんですか管理人さん やめ検は言いました 家具の査定 青島は言いました なんで やめ検は言いました 相続訴訟の報酬は相続財産の影響を受けるからね 青島は言いました だからといって他人の家の家具を勝手に鑑定していいんですか うちはベニスの商人ですか あれ 元教授は庭で何やってんですか 石灯篭の穴を覗きこんだりして やめ検はいいました あれね 管理人に言われて不動産を鑑定してるの 青島は力が抜けたように言いました みんな自分のペースは絶対ゆずりませんね ある意味尊敬します やめ検は言いました まっそれがうちの個性だあから 青島は怒鳴りました お前もだ 仕事の現場に来てる時ぐらい 娘と家族から頭を話せ このロリコン親父 やめ検は言いました なんだと この野郎 青島は言いました すいません 僕らしくないようです やめ検は言いました 苛立ちはわかるけどね 青島は言いました こんなんで勝てるでしょうか やめ検はいいました 耳の錯覚かな 古美門に勝つ 君が 青島は言いました 依頼人はどこ行ったんですか それと茅野君は やめ検は言いました 犬の袋に紙が入っていて それを調べるって次郎の部屋に ホストもおもしろがってついてった
相続人の資格22
青島がいいました 誰とでもすぐ仲良くなれるのが茅野君の特技だけど あんなへんな人達と良く簡単に やめ検は言いました あのさ いいたくないけど 君もかなりへんだよ 青島は言いました わかってます しかし人間はみな自分がスタンダードですから やめ検は小鳥遊と京極の姿を見ていいました 確かにな ここは次郎の部屋です 茅野がリラックスしてメモを見てるそばで財部がギターを弾いています 滲む月 青が包む夜 淡い光 夢のなか 歌う財部に茅野がききまあした 兄さん この馬鹿夫婦って誰の事でしょう 財部は言いました わけわあかんない そのメモとこの歌詞だけで まりこ叔母さんなあにかんがえてるんだろう 茅野はいいました オレ頭悪いから 姉さんにみしてみましょうか 財部は言いました えーあの人 法律問題いがいかかわりたくないよな 茅野はいいました だけどなんで犬の首のお守りにこんなものが 財部は言いました それ以前になんで犬の首にお守り袋なの ところで次郎ちゃんどこ行ったの 茅野は言いました 次郎兄さんならさっき出ていきましたよ 財部は言いました えー他人ごとじゃん いつもの事だけど 次郎が歩く姿をガラス越しに服部が見つけます 服部が言いました 先生あれ柴次郎さんじゃないですか 古美門は言いました 顎に手をあて その手を片手でささえて あいつはブロンズ像か 服部は言いました 気になりますな どこ行くか 古美門は指笛を吹こうとします 服部は言いました それは無駄です 先生死んだ子の年を数えても 古美門は言いました しんじゃいませんがね
相続人の資格23
次郎が歩いています 後ろを古美門と服部が追います なれない尾行ですが次郎はきづきません 古美門は言いました なんで私がこんな下仕事を しかしなんであいつ内股で歩くんだ 服部は言いました 男子35歳ですか 私の知り合いなどもうその年には海軍大尉でした 戦艦大和の砲術長です 古美門はいいました 戦艦大和って あなた本当はいくつなんですか 昭和何年生まれ? 服部は言いました これはうっかりばらしてしまいましたな あれ次郎さんは 古美門は言いました あれ にぶそうなわりには素早い 服部は言いました 尾行ばれましたかな 古美門は言いました だとすると説明がやっかいだな 服部は言いました とにかくもう少し探してみましょう 一方こちらは次郎 なにやらブツブツいいいながらパチンコ屋の前をとおりますとパチンコ屋から秀吉夫婦が現れます 妻の手にはチワワが抱かれています 秀吉が言いました おーいキッチン次郎 次郎の前に二人が降りてきます 秀吉は言いました キッチン次郎久しぶりだな 次郎は言いました 誰ですかあなたは記憶にございません 秀吉は言いました つれなくするなよキッチン次郎 秀吉は次郎の片に手をまわしました こいつキッチン次郎 俺ら中学の時ぱしりにつかってた奴 こいつオレの嫁 妻は挨拶しました こんにちわ なんでキッチン次郎って言うのよ 秀吉は言いました キッチン次郎のコロッケばかうまいじゃん 中学の時こいつに毎日ごちそうになってたんだよ あーまった食いたいな しかしもうパシリってわあけいかないよな よしオレが買いに行こう 今度いつあえるかわからないから とりあえず百個分でいいわ 妻は言いました パチンコ擦っちゃったしね 秀吉は言いました よけいな事言うな
相続人の資格24
次郎はいきなりかけだしました 秀吉が叫びました あっこのやろう 秀吉が追おうとするとチワワの五郎がそそうします 妻が五郎をおろすと五郎は前にはしりだします 結局次郎 五郎 秀吉夫婦と走りつらなります その頃古美門は県道の近くにいました 服部はいいました どこまでお話しましたですか 古美門は言いました 連合赤軍の神木隆之介の所までです 服部は眉をしかめました 後の連合艦隊参謀長草鹿龍之介大尉です 誰が佐々木蔵之介の話をしましたか 古美門 いや あのつづけて下さい 服部は言いました 無数に近い暴漢の前でも怯まず草鹿大尉はこういいました 貴様ら本当に日本人か 天皇陛下の赤子としてかような振る舞いがゆるされるとおもってか どうしても暴行すると言うなら この草鹿の屍を踏み越えて行け そう言うやいなや その時陸橋を越えて走ってきた次郎が県道にたどりつきました しかしそこで立ちどまってしまいました 古美門はそれに気がつきました 服部は気がつきませんでした やがて秀吉がゆっくりちかづきました 妻が聞きました どうしたのこの人 秀吉は言いました デジャブーっての こいつ県道こえられないんだよ 古美門は言いました それを言うならトラウマだろう 服部は言いました 草 鹿 龍之介 トラとウマでなくて鹿と龍です 古美門は言いました それで大野は馬鹿でしたけか 服部は言いました 違います おのは一刀流です 古美門は言いました ちょっとすいません すぐ戻ります 古美門はどこかへ行きました 一方金を奪って去ったはずの秀吉夫婦がまた戻って来ました
相続人の資格25
古美門が戻って来ました 服部は言いました どこまでお話しましたか 古美門 木の葉丸 服部は言いました おのは一刀流です 古美門は言いました 続けて下さい 服部は言いました 海軍サーベルをこのように鞘をつけたまま持ちまして 並み居る暴漢を 県道の向こうではぼったてる次郎の背後に秀吉がそっと近づきます 妻が小声で止めているようです 躊躇する秀吉に古美門が顔でせかせます 服部は様子に少し気がつきました 急いで古美門がフォローして邪魔をします 服部は言いました 向こうに何か 古美門は視野をさえぎるようにして言いました 古美門はいいました 坂本竜馬を殺害した刺客もおのは一刀流の達人でしたよね 服部は言いました そうです お若いのに良くご存知で 私ごとで申し訳ないのですが おのは一刀流を少々 ま これは帝国海軍の正式武芸でありまして 江田島兵学校の時には東海の天狗と呼ばれた時も 古美門は秀吉に怖い顔で合図しました 秀吉は覚悟を決めました 秀吉は次郎の後ろから近づき言いました 何やってんだよ キッチン次郎 そういうなり次郎を前に押し出しました 次郎は道の方に降りてしまいました 次郎は最初何が起こったのかわかりません しかし気がつくと大声を上げ歩道に逃げ そこら中を走りまわった挙句仰向けに倒れて昆虫のように手足をバタバタさせています それを見て秀吉夫婦は大笑いしました
相続人の資格26
声がしました 小僧ども何をやっとるか 秀吉達が顔を上げると怒りに肩をいからせた服部がやってきます 秀吉はいいました なんだよおっさん関係ないだろう 服部はちかづいてきました 貴様それでも日本人か 天皇陛下の赤子として恥ずかしくないのか これ以上非道を働くというなら この服部の屍を越えていけ 服部はどんどん近づき秀吉の胸座をつかみ持ち上げてしまいました 秀吉は驚いてバタバタしますと妻が言いました あの人がやってくれと 妻は古美門を指しました 古美門は必死で手で否定しましたが服部は納得しません あなたと言う人は 服部は古美門の方に近づいてきました 秀吉達は逃げてしまいました その時次郎が苦しがりました 服部はきびすを返して開放しようとしましたが次郎は動かなくなりました 体をさわった服部が言いまあした 息をしていない 古美門がパニックになりました 服部さん何とかしてー 服部は心臓マッサージをしましたが効果はみられまあせん 服部は言いました かくなる上は 服部は片袖を脱ぎ次郎の頭の方に移動しました オンアビラウンケンソワカ オンタダギャトードハンバヤソワカ オンタダギャトードハンバヤソワカ オン アノクタラサンミャクサンボタイ アノクタラサンミャクサンボダイ カー 地面が揺れました 次郎が息を吹き返しました 服部はいいました すこしインドでパイロットババから気功をおすわりまして くしくも麻原とは兄妹弟子です 古美門は言いました よかったです ダイバダッタでなくて レインボーマンの兄妹弟子に雑用はお願いできませんから
相続人の資格の27
一方こちらは柴家母屋です 玄関先で声がしたので青島はこの家の人間でもないのに応対にでました 行くと貧相な男がいました 青島は言いました どなたですか 男は名刺をみせました 名刺には 古物商間倶部商会 と書いてありました 青島は言いました 古物商 何で 次郎さんが呼んだのかな 間倶部が言いました いえ奥様から 小鳥遊が飛び出して来ました 待ってたの 入って 青島は言いました 奥様って 管理人さん いつ誰と まさか次郎と 青島は驚いて間倶部についてきました 小鳥遊大きな壷の前にいました 間倶部はいいました これですか これは清朝の壷でいいものです 小鳥遊はいいました おいくらかしら 間倶部はいいました そうですね ここらへんとなりますと このくらいははりこみますが 小鳥遊はいいました もうちょと 間倶部は電卓を叩きました ここらへんで 小鳥遊は言いました 売った 青島が言いました 売ったて柴家の物ですよ 小鳥遊はいいました そうよ 何か問題あるわけ 民法で他人の物は売れるのよ 弁護士の癖に もぐりかなポチは
相続人の資格28
青島は言いました ばかな事は言わないで下さい 小鳥遊はいいました 弁護士の倫理規定の実例にもないわよ 弁護士じゃないけど 青島が言いました 誰がそんな事やるんですか その時京極が戻って来ました 管理人さん 鑑定の結果がでました 青島が言いました 不動産もやるつもりか 間倶部がいいました 不動産はあつかえません 小鳥遊はいいました 儲かるのに 臆病ね 元教授 鑑定結果見せて 青島は鑑定結果を京極から奪いとりました 京極は言いました 何するんだ青島君 青島は鑑定結果を引き裂きました こんな物こんな物 こんな物 小鳥遊は言いました 何すんの この弁護士ニート 青島は言いました うるせい ぶっ殺すぞ 青島くん キャラ変わりましたね やめ検は言いました 彼は今たった一人で日本中の法悪と戦ってるのです 見上げたもんです あれあなたは権藤さん どちらにいらしたんですか 権藤は言いました 私はシーズン3以降の人間なのでこれ以上でしゃばるのは 時間軸の問題で それに殿の所でお家騒動がありまして 駈り出されておりました
相続人の資格29
こちらは古美門の車の中です 服部は言いました よろしいんですか 先方に挨拶もしないで 古美門は言いました 挨拶も何もとりこんでたじゃないですか 次郎の部屋には誰もいなかったし 服部は言いました しかしどうしてもめてたんでしょうね たまをとるの たまはないのとか騒いでましたが 古美門はいいました 私には貧乏人の考える事はわかりません 服部はいいました しかしわびてこなくてよかったのかな 古美門は言いました 家族は不在のようだし 小鳥遊が傷害で告訴するとか言い出しかねませんからね それよりさっきは失礼いたしました 服部はいいました それは私の方ですが 古美門はいいました おかげで良い画がとれました 古美門は超マイクロカメラを示しました これで裁判所も納得するでしょう 服部は言いました そういうお考えでしたか しかしやりすぎです 古美門は言いました 反省してます お詫びに何かごちそうしましょう 服部は言いました そのように気を使わなくても 古美門はいいました 私もおなかがすいた 看板が立ってる 鉄板熟女アカネ お酒も飲めるのかな 服部は言いました まだ熟女とまでは 所で私の勘なのですが どうも今回の事は何か裏があるような気がするんですが 古美門は言いました 服部さんもおきずきにになりましたか 古美門はバックから鉄の棒を出して服部に示しました これは文鎮ですね それもかなり高価なものだ 古美門は言いました これは超一流大学法学部を首席で卒業した者のみに非公式に配られる特別な記念品です かつてのあの総理大臣と あの民法の権威の学者が同じものをもっています 服部は言いました この紋は おそれおおくもあの紋ですな
相続人の資格の30
しかし古美門先生がなぜご存知なんですか 先生は確か 古美門は言いました そう私は黛が名前さえしらない3流大学出身で遊びほうけておりました 服部は言いました あのあと某所に抗議のファックスが多数とどいたそうですな そんな事あってたまるかよと 古美門はいいました まだまだ累年受験者の残党が残ってる時代でしたから 最初からこれほど好感度を下げられた人間もめずらしいかと ところでこれと同じ物をちょっとした知り合いが持ってましてね 服部はいいました ちょっとしたお知り合いですか 古美門は髪に手くしをかけました ここは古美門の実家です まだ小学生の古美門が清蔵氏に説教されています 清蔵はいいました だから君は駄目なんですよ いいですか 社会という物は がみがみぐだぐだがみがみ わかりましたか 古美門はいいました すいません 清蔵はいいました わかったなら行ってよろしい 古美門は部屋を出ました 部屋を出てからうらめしそうにしていましたがいきなり手をぽんとたたきました 翌日 庭で竹刀をふるっている清蔵の姿に どこかで誰かが と言う音楽が それを二回の窓から古美門がこっそり見ています 一階の廊下 書斎の前へ来た古美門が手ぐしをかけます
相続人の資格31
古美門は耳をすませました 清蔵の気合が聞こえてきます 古美門は隠れるように清蔵の書斎にはいりました 書斎の奥の扉をあけると清蔵の寝室に通じます 古美門は大きなドレッサーの所まで来ると引き出しをあけました すると小さな桐の箱がありました 古美門はそれを取り出し中をあけました 中には文鎮が入っていました 古美門はそれを取り出し意地悪そうに笑いました 服部はいいました その文鎮が今回の事について何か関係あるんですか 古美門はいいました 文鎮というよりこれを見つけた場所がいがいな場所だったのが気になるんです 服部はいいました そうおっしゃいますと 古美門はいいました 似つかわしくない場所でみつけたんです どこで見つけたとおもいますか 古新聞の束の横です どうやら新聞を縛る時にねじってたようです よく見るとあちこち欠けてるんですよ 服部はいいました ちょっと待って下さい 先生まさか勝手にもってきちゃったんですか 古美門は言いました 小鳥遊はあんな女ですが頭は抜群です もしこれが小鳥遊の目に触れた場合何かにきがつく可能性があります いずれにしてもどちらに有利になるかわかりませんがみつけた物はどんどん確保しないと これから証拠保全とかでお互い動きがとれないシュチエーションになるわけですから 服部は言いました しかし無断というのは 古美門は言いました まあ 母屋にあったものですから 尋常な方法ではこちらは確保できません
相続人の資格相続人32
一方こちらは柴家です 訴えてやる 小鳥遊は言いました どこへ訴えるつもりなのよ 青島は言いました 弁護士会の綱紀へだ 小鳥遊はいいました 馬鹿じゃないの 私は一般市民よ 困るのは教授とあんたでしょう 青島は言いました うーそうだった この怒りをどこへもって行けば 京極はいいました 青島くんこらえて 青島くんこらえて 青島は言いました この女は3つ醜い浮世の鬼ですよ 退治てくれないんですか 京極は言いました 青島くん うちはほら 鬼が島だから 青島は言いました 教授までそんな事言うなんて もう誰も信じられない 青島は外へ飛びだしました 小鳥遊はいいました まるで父親の不倫現場に遭遇した処女の女子高生みたいねあいつ やめ検はいいました おいそれ 女がしゃべる台詞かよ 小鳥遊はいいました うるさいやめ検早く帰れ 茅野が降りて来ました 姉さん 次郎さんがおかしいんです 小鳥遊達が部屋の前へ行くと 財部が締め出されていました 財部は言いました 次郎ちゃん 何があったの 部屋にいれてよ 次郎が怒鳴りました もうベーちゃんも誰も信じられない 小鳥遊は言いました 一体何があったの 財部はいいました わかりません 服部さんが次郎ちゃんをおぶって来て それで部屋に寝かしたんですが 小鳥遊はいいました おぶって来た 次郎180はあるわよね すごいじいさん それでなんて言ってたの 財部は言いました それが諸事情がございまして 寝かせてあげた方がよろしかと存じますとか 小鳥遊びは言いました まったく こらホスト なんで私を呼びに来ない 茅野は言いました 姉さん 取り込んでたから
相続人の資格の33
小鳥遊は言いました こら何があったか知らないがここをあけなさい 次郎は答えません 小鳥遊は言いました あけないとぶっこわすわよ 茅野は言いました 姉さんやめてください おかしくなっちゃいますよ もともとおかしけど 財部はいいました 次郎ちゃんが一歩も部屋から出なくなったらどうするのよ 京極は言いました ありえますな 半径3キロから半径3メートルに やめ検は言いました まさか 地図じゃあるまいし 小鳥遊は言いました ホスト あいつら隣から引っ張ってきな 茅野 もういないとおもいますよ そんな誠実なら ちゃんと説明してくでしょう 小鳥遊 ちくしょう やり逃げのとんずらこきやがったか やめ検は言いました だからそれは女の口から出る台詞じゃないでしょう
相続人の資格34
小鳥遊は言いました とにかくこんな状態ではしばらくは次郎なしで対策をたてるしかないな 京極は言いいました そう言いますと 小鳥遊は言いました 外堀から埋めていきましょう 下に来て 一行は下におりました 小鳥遊は言いました まず 相続人をはっきりさせましょう 茅野は言いました 相続人は次郎兄さん親子ですよね 小鳥遊は言いました だからそういう常識にとらわれちゃいけないの 先入観にとらわれず 一から相続人をさがさなきゃいけないの 京極は言いました 隠し子ということですか 小鳥遊は言いました まだ戸籍も見てないのよ 相続問題でもっとも怖いのは伏兵を見落とす事なの 古美門より先に情報を掴まないと おあつらいに むこうは兵隊が足りない やめ検は言いました ひとを雇うだろう 巨乳の調査員かなんか 小鳥遊は言いました 年ばっかりとってて 何にもわからないんだ あの男はたやすく他人を信じたりしません 古美門は言いました やっぱり兵隊は必要かな 服部は言いました それではお許しになるんですか 古美門は言いました 許すも許さないもあいつがかってに怒ってるだけで 服部は言いました そう言う事にしておきましょう 古美門は言いました 何か奥歯にはさまってるようだが まあいいでしょう ところであいつ今どこにいるんだろう 服部は言いました それはお任せください
相続人の資格35
次郎はウトウトしています 夢の中で次郎はパソコンを叩いています 鞠子が声をかけます どこへ行ってたの 次郎は言いました 子供を置き去りにして言うかな 僕は部屋から出ないから お菓子があれば生きて行けるし 一杯買って来て チャンと甘辛のバランス考えてね 次郎が振り向くと誰もいません そこで目がさめました 次郎は急に不安になりました 次郎は鍵を開け部屋を飛び出しました どたどたと階段を下りると
そのまま 外へ飛び出していきました 茅野が言いました 姉さん次郎兄さんが 小鳥遊は言いました いいのよ当分役に立たないだろうから 茅野は言いました 俺行って来ます 財部兄さん行きましょう 財部は言いました 次郎ちゃんどこへ 京極が言いました 私達も 小鳥遊は言いました 子供じゃないんだから 辞め検は言いました しかしいなくなったらどうするんだ 鍵のありかもわからないのに 戸締りは 小鳥遊は言いました すぐ帰ってくるわよ 私が留守番してもいいし 辞め検は言いました お前乗っ取る気満々だな 教授行きましょう
そのまま 外へ飛び出していきました 茅野が言いました 姉さん次郎兄さんが 小鳥遊は言いました いいのよ当分役に立たないだろうから 茅野は言いました 俺行って来ます 財部兄さん行きましょう 財部は言いました 次郎ちゃんどこへ 京極が言いました 私達も 小鳥遊は言いました 子供じゃないんだから 辞め検は言いました しかしいなくなったらどうするんだ 鍵のありかもわからないのに 戸締りは 小鳥遊は言いました すぐ帰ってくるわよ 私が留守番してもいいし 辞め検は言いました お前乗っ取る気満々だな 教授行きましょう
相続人の資格36
小鳥遊は言いました まったく 人聞きの悪いこと言わないでよ 誰が乗っ取るのよ そんな酷いことするわけないでしょう 売り飛ばすだけよ 次郎が走ってるのを 青島が見ていました あれ 次郎さん 次郎さんどこえ 思わず青島はあとを追いました 残った小鳥遊は言いました まったく ひとつ口あけば 正義とか社会常識とか そんなのわね スタッフにちゃんと仕事を与えられる弁護士が言う話なのよ 喫茶店にいる小鳥遊が坐っている席に伊藤理恵がやってくる 伊藤理恵が言いました 翔子さんお久ぶりです 小鳥遊が言いました お久しぶりじゃないわよ どうしてもやめちゃうの 理恵は言いました 良く考えたんですけど それで翔子さんに雇ってもらったんで許可を得たいと 小鳥遊は言いました それはいいけど まさか給料貰ってないんじゃ 理恵は言いました 給料はちゃんと貰ってますが 仕事がありません 毎日暇で暇で 小鳥遊びは言いました でも帳簿つけとかあるでしょう 理恵は言いました あんなの高卒の子でもできます 小鳥遊は言いました もと大手都市銀行の総合職の貴方にはプライドがあるものね 仕事来ないの 理恵 来る事は来るんですが 隣人訴訟とか 物損事故とか 逃げたペットの所有権の争いとか 小鳥遊は言いました あなた達はやることないわよね 理恵は言いました それでもどんどんやってくれればいいんですけど この前なんか占有の移転にペットの意思は必要かどうかなんて 代表と大鷹弁護士が議論をはじめて 一日仕事に出ませんでした
相続人の資格37
小鳥遊は言いました 動物愛護のようでしっかり物権である事は否定しないと言うこすっからいやり方ね しかしスタッフとしては不安になるわよね 理恵は言いました 今はまだお給料をもらえてますが 小鳥遊は言いました ところでもうひとりのパラリーもどきは 理恵は言いました 馬場さんでしたら引き抜かれました 小鳥遊は言いました え 引き抜かれた あいつ前 御免 国家のミッション歴があるのに 理恵は言いました 馬場さんの前を知りながらです 小鳥遊は言いました どこが 理恵はいいました フィリップス天馬 小鳥遊は言いました 海東の奴なの ふざけやがって 理恵が言いました でも仕方がないと思います 馬場さんはためで見てられないほど気の毒で それより頭に来るのは なんで馬場さんだけなんでしょうか 小鳥遊が言いました それは理恵ちゃん 貴方が頭がいいから 色々あるのよあそこも 脱税とか 違法な証拠収集とか 理恵は言いました 私そんなもの外部に漏らしません 小鳥遊は言いました でもメモは録るでしょう 理恵は言いました はい何かの時の為に ついでにコピーも 小鳥遊は言いました そういう人は駄目よ あいつは
相続人の資格38
海崎と言う男は自分以外全く信じない男なの 例えそれが恋人でも親でもね ところで理恵ちゃん これからどうするの あてあるの 理恵は言いました 就職は楽ではないと思います 国家のミッションに応じて世間から隔離された期間の説明が出来ませんし まともな金融機関にはしっかりブラックリストが出回ってるでしょうし 父の入所している介護施設にバイトで受けいれてもらえるらしいです 小鳥遊は言いました お父様の世話をするというのはいいことだけど 貴方のために天下取りレースから脱落したお父様が貴方を暖かく迎えるとは思えない 理恵は言いました わかっています 小鳥遊は言いました 理恵ちゃん もしもよ もしも私が復帰して事務所が軌道に乗ったら戻って来てくれる 理恵は言いました でもすぐ出て行くでしょう お金半分持って 小鳥遊は言いました 私だって生きていかなきゃならないもの しかし今回は 教授をまともにするのは奇跡だけど せめてポチを ドーベルマンにしてみせる 理恵は言いました ポチさんをドーベルマンにですか 小鳥遊は言いました 無理よね でもせめてポインターぐらいにわ 小鳥遊は呟きました ポチ あんたが一人前になるためには古美門は格好の試練よ それに古美門に勝てば格好の事務所の宣伝になる そのためにはこれを裁判に持ち込まないと 和解じゃ宣伝にならないもの もっともあちらもそのつもりだろうけど
相続人の資格39
ここは都内にある墓地である 古美門清蔵が ある立派な墓に墓参している 突然声がかかる 古美門先生でいらっしゃいますか 清蔵は振り向く 吉男の家内でございます 鞠子が立っている 清蔵は言った これははじめまして お噂はかねがね 二人は深く頭をたれて挨拶を交わしました 再びところかわり 都内の小さな雑居ビル その一室 ドアにふれんど法律総合事務所と書いてある 二人の女性が何か言い争っている声が聞こえてる 睨み合ってる二人 真知子が言いました だから何か文句あるわけ 楽子は言いました 確かにあなたの博才には感謝してるけど 楽子はシーツをはずした そこには膨大な数のレトルト食品 スナック菓子 カップラーメン袋麺 そしてタバコ そして子供用のお菓子 楽子は言いました これで生きて行ける 真知子は一つとって言いました カロリーとか結構あるし 楽子はいいました まあそれでも食べられればよしとします このタバコは何よ 二人とも喫煙習慣はなかったわよね 真知子は言いました それは その 楽子は言いました 貴方の見得よね 30過ぎた女が いかにもお一人様ような景品だけじゃ 格好わるいもんね それで子供用のお菓子も入れてもらったわけだ
相続人の資格40
ここは某パチンコ店の景品交換所 なにやら景品を物色している真知子 台の上で自動で玉数を測る機械のメーターが数値を上げて行きます 真知子 ちょっと待って下さい タバコ頼んでません 店員は言いました 奥さまでしょ 家庭の事も大事だけどご主人やお子さんにサービスもしてあげなさいよ こういうおもちゃの入ったお菓子を子供は喜ぶの ご主人 ハイライトでいいかな セブンスターも入れとこうか どうします ハイライトだけでいい もしかしら
お一人様ってことは だったら失礼ですが 真知子は言いました 若葉も入れてください 楽子は言いました まさかあなた 両替用の景品を知らないって事はないわよね 真知子は言いました 知ってるわよ でもあれは違法でしょう 楽子は言いました そりゃそうだけど だかあらおおっぴらにはやってないけれど 真知子は言いました 弁護士の私達が法を犯せるわけ 楽子はいいました 戦後山口判事事件知ってるでしょ 裁判官の山口判事は法を犯せないと闇食料を口にせず 配給だけで栄養失調で死んでしまった あなたそうなるわよ 真知子 状況が違うわ 楽子は言いました おんなじ状況よ こんな物ばかり食べてたら 絶対体がおかしくなる あー新鮮な野菜が食べたい お肉も焼いて食べたい 真知子 依頼が来るまで我慢しなさい 楽子は言いました こんな状態でいつくるの 1年後 10年後 第一事務所の家賃をどうすんの 真知子は言いました それは処理したから 楽子は言いました あなたのへそくり 真知子は言いました 両替したのよ 楽子は言いました やってるじゃん 真知子は言いました 非常手段よ それ以外はだめ 楽子は言いました この石頭 もういいわ 楽子はタバコを風呂敷に包み始めました 真知子は言いました 何するの 楽子は言いました 両替にしてもらうの 真知子は言いました もう無理よ 楽子は言いました そこを何とか 今日はすき焼きにするから楽しみに待ってなさい
お一人様ってことは だったら失礼ですが 真知子は言いました 若葉も入れてください 楽子は言いました まさかあなた 両替用の景品を知らないって事はないわよね 真知子は言いました 知ってるわよ でもあれは違法でしょう 楽子は言いました そりゃそうだけど だかあらおおっぴらにはやってないけれど 真知子は言いました 弁護士の私達が法を犯せるわけ 楽子はいいました 戦後山口判事事件知ってるでしょ 裁判官の山口判事は法を犯せないと闇食料を口にせず 配給だけで栄養失調で死んでしまった あなたそうなるわよ 真知子 状況が違うわ 楽子は言いました おんなじ状況よ こんな物ばかり食べてたら 絶対体がおかしくなる あー新鮮な野菜が食べたい お肉も焼いて食べたい 真知子 依頼が来るまで我慢しなさい 楽子は言いました こんな状態でいつくるの 1年後 10年後 第一事務所の家賃をどうすんの 真知子は言いました それは処理したから 楽子は言いました あなたのへそくり 真知子は言いました 両替したのよ 楽子は言いました やってるじゃん 真知子は言いました 非常手段よ それ以外はだめ 楽子は言いました この石頭 もういいわ 楽子はタバコを風呂敷に包み始めました 真知子は言いました 何するの 楽子は言いました 両替にしてもらうの 真知子は言いました もう無理よ 楽子は言いました そこを何とか 今日はすき焼きにするから楽しみに待ってなさい
相続人の資格41
真知子が出入り口に立ちはだかりました いかせないわよ 楽子は言いました そこをどきなさい 真知子は言いました 正気なのあなた 楽子は言いました あなたの見得のために栄養失調になれないの 真知子 なんですって いいわ 出ていきなさい でもそれでかいさんよ 楽子は暫く考えたがやがてスナック菓子を仕分けし始める 真知子は言いました 何してるの 楽子は言いました 栄養失調にならないようにバランスのとれた料理にするの あなたも手伝って 原料ごと ポテトはポテト カールととんがりコーンは一緒 真知子は言いました おっととは 楽子は言いました それは大麦だからパン カップ麺は細麺とふと麺にわけて これからは調味料とかんずめも取って来て それからこれからタバコと子供用お菓子と花火はご法度 真知子は言いました わかりました ごめんなさい苦労かけて 楽子は言いました それでも軍資金はどうするの いずれつきるわよ 真知子は言いました ホールに転がっている玉が3つあれば何とかなる 楽子は言いました 驚嘆すべき博才ね
相続人の資格42
楽子は言いました あのさタバコもらっていいかな 真知子はいいました 喫煙習慣ないんでしょ お父さんはいないいわよね あっ御免 楽子は言いました いいのよ 真知子は言いました 弟問題児の あっ御免 楽子は首をふりました 真知子は言いました じゃあロンドンに言った人 楽子は返事をせず言いました あのさ 喫煙人口がへらないって男の責任だけじゃないよね 真知子は言いました わかるわかる 女の子もタバコすう男大好きだもの なんか大人の男って感じでさ 楽子は言いました クリントイーストなんかがさ くわえタバコでマグナムかまえて バーン バーンて 真知子は笑い出す 楽子は言いました 何かおかしい 真知子 だって全然胸揺れないんだもの 楽子は言いました 失礼ね じゃあ貴方やってみなさい 真知子は言いました じゃあ私はジュリアーノジェンマ荒野の用心棒 連発銃でババババババ 楽子はソファーの笑い転がりました 楽子は言いました 微動だにしない 真知子も転がりました まったくめくそはなくそを笑うわ ところで彼 どの銘柄なの 真知子は言いました ハイライトよ でも若葉もセブンスターも頂戴 真知子 なんで 楽子はいいました 恩人がいるのよ私には 真知子は言いました どっちの銘柄なの 楽子は言いました 知らない 興味もないし 真知子は言いました 好きな人の銘柄は知ってても たかが恩人の銘柄は知らないわけだ 貴方女子力満開ね
相続人の資格43
一方こちらは古美パパこそ清蔵氏です 九州から出て来た清蔵氏は古巣の東京地検へ到着しました 東京地検につくと清蔵氏はその建物を見上げます その窓の一つ 東京地検検事正 かつて自分のいたオフィスの窓です その清蔵氏の脳裏にあるやり取りが浮かんできます それはじしんの声でした 先生 申しわけありませんが それだけはご勘弁ください たしかに先生のクライアントには同情をいたします 個人の幸福が公益により無視されると言う現状も理解しているつもりです しかし今起訴を逃すと 次の機会はないかもしれません 被疑者は力のある人間です 今はおさえていますが 時間を与えるとどんどん上層部に政治圧力をかけていきます 私は検事正ですが 起訴はあくまで担当検事が行います もし担当検事が圧力に耐えられなければ 私は担当をかえるしかありません そうなれば士気はガタガタにおちます 勢いがあるうち起訴にもちこみたいんです このような事件を不起訴にしたら私は国民にわびきれません ですからこの話はお断りさせてください 清蔵は髪を軽くさわると地検の建物に入っていきました 一方こちらは古美門の車です いきなり後方から救急車の音が聞こえてきます 服部は車を寄せて止めました 一台の救急車が通り 服部が車を発進させようとすると もう一台が走って来ました 古美門は言いました 珍しいな 救急車が連続するなんて 事故でもあったのかな
相続人の資格44
へんかんきのうにしょうがいがしょうじています よみずらいですがへんかんせず かきます ではほんぶん きゅうきゅうしゃがとうりすぎるとはっとりはくるまをきゅうはっしんさせました こみかどはうしろにばらんすをうしないました こみかどはいいました はっとりさん どうしたんですか はっとりはこわばった顔でなにもいいません はっとりはすぴーどをあげてまえのくるまをおいこしました こみかどはひつうな声をあげました はっとりさーん はっとりはしょうきをとりもどしたようなかおになりました もうしわけありません きゅうきゅうしゃのむかったほうこうがきになりまして おふたりのじむしょのほうこうなのです 2だいというのもめずらしいし気になりまして こみかどはいいました それはどういうことですか はっとりはいいました まさかとおもいますが おふたりがしょうらいにひかんして よをはかなんで こみかどののうりに新聞のみだしがおどります じょせいべんごしむりしんじゅう こみかどはいいました はっとりさん もっといそいで 服部はスピードをあげました わたくしかいどうのとらとよばれたときがございました こみかどはいいました おいくつのときですか はっとりはいいました ばぶるの時ですから50ぐらいですか こみかどはいいました きゅうしゃかいけいですか はっとりはいいました これよりかーぶは4りんどりふとでつうかします こみかどはいいました それだけはやめてはっとりさん
相続人の資格45
小さな雑居ビルの付近につくと救急車が人を搬送する最中でした 様子を見ようとする二人ですが 野次馬が多くて近づけません 救急車は2台とも発進してしまいました 古美門は言いました ちょっと聞いてきます 古美門は近所の人風の野次馬に近づきました 古美門はいいました 何があったんでしょうか 野次馬は吹き出しそうな顔で言いました 何があったって ちょっと言いにくいんで 野次馬は古美門をわきに呼んで話しました 古美門は事情を聞くとさわやかな顔で帰ってきました 服部は聞きました どうでしたか お二人に何か 古美門はいいました 心中どころじゃありません あの最中の膣痙攣だそうです 服部はいいました えっ 古見門は言いました 二人分救急車を呼びましたが くっついたままなので 一台はカラでかえったそうです あの二人には縁もゆかりもない話です 男性パートナーなしでは起こりません珍事ですから