よくあるご質問9

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7月施行相続法改正実務3

さて前回まで説明しましたように指定分割が遺贈のように対抗要件を備えなければ法定相続分をのぞき第3者に対抗できないとなると残す方も残される方もなんらかの対策 つまり予備的方法を使わなければあんしんできません これは財産によって予備的方法があるものと予備的方法がなかったり かなり予備的方法がむずかしかったりがあるので その中でももっとも重要な不動産について説明します 予備的方法とは仮登記をして優先権を確保することです しかし相続そのものの仮登記は認められません 仮登記と言うのは現に権利が移転していながら本登記できない書類上の問題で行う一項仮登記と期待に対する請求権を目的とする2項仮登記があり 相続前の仮登記は2項に該当しますが実務は認めません 遺贈も仮登記を認められません じゃあ方法がないかと言うと死因贈与が認められます 死因贈与は効果は遺贈のようなものですが2項仮登記が認められます 理由は相続は事件であり遺贈は単独行為で 原因そのものが契約よりも被相続人の単独意思によるもので 簡単に言うと法律的相手方が存在しません しかし死因贈与は贈与と言う契約で受贈者は契約により請求権が手に入ります 贈与者の死亡は条件にすぎません そのため条件つき契約と同じなので2項の対象となります 相続や遺贈は契約ではありません その事がわかれば死因贈与のみ仮登記ができると言う理由はわかります 期待権って感覚なら出来てもいいのでしょうが 法は極端に仮登記を広げたくないのです そこで特定の子供に特定の不動産を残したいなら死因贈与で仮登記をするといいです ただしなるべく司法書士等に相談してください

遺言書の一部無効

遺言書は要式行為であるためその要式に合わない場合遺言書全部が無効になります すると遺言は全て無効です しかし要式をちゃんと踏んでいて作成過程に問題がない場合 遺言書と遺言は一致しませんから 遺言書じたいは原則有効になります また遺言書の作成じたいに問題がなくても遺言書全体が無効になる場合もあります しかし特に気をつけなければならないのは形式です 一般的に注意が必要な事以外を説明します 特に気をつけなければならないのはけっこう知られてませんが遺言年齢です 遺言年齢は満15歳以上です これは絶対条件です 例外がありません 法定代理人の補佐は認められませんまあ めったにないケースですが満15歳の子供が多額な資産を残した場合 その相続人は必ず法定相続か遺産分割協議です まれに祖父が息子が嫌いで孫にほとんど遺贈する事があります そう言う時こう言う問題が起こります この場合孫が母親に全部の資産を相続させたいと遺言書をつくっても無効となります

遺言書の一部無効2

遺言は15歳を過ぎていれば誰もが可能です しかしだからと言って全ての人の遺言が基本どうりの要式で有効になるわけではありません 特別な立場の人は遺言の要式を満足させるだけでなく一定の追加の要件を満足させないと原則無効になります 遺言には追認がないからです まず軽い所から説明します 被補助人と被保佐人は普通どおり遺言できます 法定代理人の関与は無用です ただし被後見人については遺言能力はないと通常判断されます しかしこれは争いがあります ないとなると遺言は無効になります しかしないだろうとないでは違います 特に成年被後見人の場合最初からの人はほとんどいません 15歳未満と違い それなりに資産を持っています それを自分の譲りたい人に譲れないと言うのも酷な話です また死んでも果たさなければならない責任もあります 例えば過ちで作った子の認知とか だから出来る限り権利を尊重しようと言う事で次の条文があります 民法973条です 条件は一つ 遺言をする時二人以上の医師が立会い この時の状況を医師の二人以上が つまり立ち会った医師全部が事理弁別を欠く状態ではなかったと遺言書に付記して署名捺印した場合です原則一人でも署名しなければ無効と考えられます 最近こういうサービスをする動きがあります しかし遺言能力ありを前提にしてしまうと後で裁判でひっくりかえされます 原則は医師法的責任は取らされませんが 組織的に遺言能力ありきを前提にする斡旋業者は この制度自体をゆるがしかねませんが なかなか主治医でも遺言の時立ち会ってくれる人は少なく ましてもう一人必要になると 合意にいたらなければ徒労になってしまうわけだし難しい問題です

遺言書の一部無効3

これらの遺言書無効事由があっても遺言能力以外の遺言書無効自由については最近はとくに緩和して遺言書全部無効から一部無効に変更される傾向にあります また無効な遺言でも遺産分割の時に特定の相続者に有利に働くための証拠として遺産分割を支配する場合もあるため遺言書は書いておく必要があります そこでプロにアドバイスを受けながら作成するのが好ましいのですが諸事情によりプロに頼めない方のため遺言書を全部無効にしない方法 または遺言書が全部無効になっても遺産分割の参考資料になりうる注意のポイントを説明します まず必ず自筆で書いて下さい 財産目録の緩和手続きもプロが関与しない場合危険です 失敗したら修正ペンで修正しないで下さい これは偽造または変造を疑われやすく全部無効になる可能性があります また遺言は出来る限り箇条書きにして下さい つなげられても出来るかぎり文章同士をつなげないで下さい つなげていなければ一部の遺言が無効事由があっても遺言書じたいを無効にしないですむ事に出来る場合があります 特に身分に関しての遺言と財産の遺言はしっかり分ける事を推奨します どちらかに無効事由があっても片方の遺言が有効になる可能性があります いずれにしても出来うる限りプロのアドバイスを受けて下さい とにかく文面的に美しくても長文は避けるのがよろしいでしょう

遺言書の一部無効4

共同遺言の禁止について説明します 遺言は単独でおこなわなければ全体が無効になるおそれがあります 共同遺言などするわけないと思っていませんか しかし共同遺言にみなされる場合もあります 以下共同遺言とみなされなかった判例を紹介しましす 再び芝家の登場です 笹野父さんには 藤田母さん 一郎 次郎 三郎 えっ三郎なんていない 映画を見てないでしょう 尿でケータイを圏外に出来る一郎の弟です がいました 土地を一郎次郎に残す遺言をしました 遺言はB5判4 問題はこの後です 事情はわかりませんが 3枚は笹野父さんの物ですが 一枚は三郎の物だったのです しかしこの4枚は一つに綴ってありました これが共同遺言になるかどうか争われました 判例が出ました 結論はこうです これは共同遺言にあたらない 同時に判例は画期的な結論を出します 一通の証書に二人の遺言があっても 証書がつづりあわせた物で それそれ明確に分ける事が出来れば共同遺言にはあたらないと言う事です ここでもう一つの判例を紹介します 同じ証書に綴られた二人の遺言の片方に無効事由があった場合の遺言全体の効力についての解釈で判例は遺言書の一方に無効事由 この場合は方式違反でしたが それがあった場合 証書全体が無効になると言う結論です ただこの古い判例は前にしめした判例と矛盾します この判例をもとに前の判例は出せないので この判例は新しい訴訟では否定されるのではないかと考えられています

遺言書の一部無効遺言書5

遺言書の一部無効の典型的な物が公序良俗違反です 昔はこれにより遺言書そのものが無効になりましたが 今は一部無効という考えに向かっています ほかに遺言書の意味ないようが判別できないとき 遺言書の字が読めない時 一部無効になりやすいですが その部分が遺言書全体の本質的部分の場合 遺言書そのものが無効になる可能性があります また公正証書遺言でも無効になる事がありますが その場合は大概一部無効になります まさか公式な手続きを経た遺言書を全部無効と言うわけもいかないのでしょう

遺言書一部無効6

もし遺言が無効又は一部無効で その事が自分の利害に関わるとき黙っていればその遺言は実現されてしまい遺言が実行されてしまうと第3者が関わって来るため その遺言が実行される前にそれを阻止しなければなりません すべて阻止を成功すると遺言は無効になり 原則遺産分割協議をする事になります また一部遺言でも相続人全体の処分域が増えます そこで今日は遺言無効確認訴訟について簡単に説明しましょう 遺言無効確認訴訟とは遺言の主に無効を訴える訴訟です 無効と言うのは法律の判断を受けなくても無効ですが遺言に関しては無効の遺言をほっておくと遺言どうりの事実が成立してしまい 決局遺言どうりになってしまいます 遺言確認訴訟とはその遺言の性質により特に認められた訴訟です 確認訴訟というのは全ての法律行為ができるわあけではなく確認の利益のあるものにのみ起こせる訴訟です さてこの遺言確認訴訟 すべての無効事由についてふさわしいわけではありません 一般的にこの訴訟が使われるのは次に上げたケースです 遺言能力の有無 方式の遵守 遺言書の撤回の可否 第3者の関与 遺言能力の有無について無効確認がされた場合ほとんど遺言書が無効になります 無効の遺言が実行されていた場合本来その遺言の執行が無効になりますが第3者が出てきてる場合 簡単に行かなくなりますので 無効と考えられたらなるべく早くおこないましょう 特に改正以後は不動産の場合登記の阻止さえ出来れば遺言その物の事実的効力をおさられますから余計早く動く事で自分に不利な遺言を実現不可に出来ます

遺言無効確認訴訟

前回説明しました遺言無効確認訴訟の続きです 裁判沙汰はこのましくりませんし 多少の事は我慢して譲り合う事も大事ですが いいようにされて泣くのもばからしいのであくまで防衛のための呼び知識と考えて下さい まずこの訴訟は特別な場合を除き調停を先にしなければなりません このように調停を先にしなければならないのを調停前置主義といいます 調停不調の場合訴訟に移ります 訴えをするには原告の当事者適確と言うのが必要ですが つまり裁判をするための資格が必要ですが現在の考え方は原告適確は相続人に限られません そこでとんでもない人間から遺言無効確認の訴えを提起される可能性がある事をご理解下さい また訴える場合遺言執行者がある場合は遺言執行者を相手どり訴訟を行います 訴える場合実務では内容証明郵便を送り最後の話し合いをするのが実務上の通例です そういった手続きをしたあと訴訟に入ります

遺言の一部無効7

今日は遺言書の一部無効につながる理由の一つ相続欠格者に対する遺贈について説明します 遺言書の一部無効に繋がるもっとも多い原因が結果的に一部の遺言が法令違反になった場合です この場合その遺言は執行出来ませんが遺言書全体を反古にするわけにはいきません たとえば遺言の段階では相続欠格ではないが遺言の執行の段階で相続欠格事由が発生した場合 相続権がなくなるので当然その人に対する指定分割も遺贈も無効になります これ以後は遺言書の性質により無効になるか一部無効になるか決まります 例えば欠格者に全ての財産を相続させると言う遺言なら無効になります しかしそれ以外の要素がある場合 有効になる部分があれば遺言書は一部無効になる可能性があります さてでは遺言者が欠格事由を知りながら遺贈や指定分割をした場合その遺言はどういう扱いと考えられてるでしょうか 次回

遺言の無効に絡む 相続人の資格

今日は問題のある相続人に対しての取り扱いについてはなします 原則で言えば問題のある人間が相続できなくても自業自得ですからいいんですが 実際にはそうは行きません 問題があっても相続させたい 相続また財産を譲らなければならないと言う場合があります 極端な話欠格により相続人が全ていなくなると財産は国庫に行きます 国庫にいくなら問題があっても血縁に譲りたい 国は法事も墓参りもしてくれません 家族問題であればなんとか我慢すればいい しかし法が決めた相続欠格となるとそうもいきません さて相続欠格とはどんな物で相続前に欠格になるとはどんな人でしょう まず筆頭は殺人者です しかし新宿駅でサリンをまいても 折り合いの悪い近所の人間の集会で出すカレーに毒を混ぜても それだけでは欠格になりません 殺害対象が決まってます 殺害した対象が被相続人 同順位以上の相続人 そして欠格になるには殺害の故意が必要です しかし動機はとわれません 騒音問題であろうが 政治的対立であろうが欠格になります 理屈ではおかしいですがもし動機についてまで評価すると 本当の目的は隠して欠格されないように逃げるからです まあ普通考えられませんが 中には兄妹喧嘩で兄貴を殺し長い務めをしてる弟に財産を譲りたい親もいます だから相続において こういう欠格者についても考えて行く必要があります こう言う相続欠格はまれですが次回からの相続欠格は実務上起こりえる相続欠格を話します ところで殺人をしてもまれに執行猶予になる事があります この場合執行猶予期間を無事満了すれば欠格の対象からはずされます  また殺人においても二重の故意を必要と言う説を唱える人もいます 二重の故意とは殺人以外の利得 つまり相続を有利に運ぶ意思です

相続人の資格

今回も相続欠格について説明します なぜ相続欠格についてくわしくやるかと言うと 知らずに欠格者に遺言してしまうのが多い事と最近の考え方として相続欠格を知りながら遺言した方が知らずに遺言した方より遺言の有効率が高くなる傾向があるからです もっとも大概の相続欠格は相続から執行の段階に相続人が欲にかられておこしてしまうのがほとんどです ところで前回言い忘れましたが殺人未遂も欠格に入ります  さて 前回は人殺しと言う重大な結果による欠格なので相続がらみでなくても欠格にされますが次から説明する相続がらみの欠格の場合 単に行為があっただけではなく 内心に故意 それも前回で少し説明した2重の故意の存在を要求されると言うのが最近の学説 判例の傾向になりつつあります 二重の故意はまた後で説明します この殺人がらみについては不告知の欠格もあるのですが これも複雑なのであとまわしにします もっとも多い欠格理由は遺言に関する不当干渉です 元来遺言は遺言者の自由意志により行わなければなりません しかし相続人にとっては大事な財産の問題なのでつい干渉して欠格になる場合がありますから限度を知る事は大事です その不当干渉の典型的な物が遺言者に対する強迫です 条文は詐欺を含むのですが親を詐欺するのは考えにくいです しかし学生時代こずかいがほしくて親にオレオレ詐欺をした場合 二重の故意と言う理論と 遺言に作成への影響はないので否定されるでしょう 遺言者に対しての不当干渉でもっとも多いのは強迫です 単に遺言者を詐欺強迫した事でなく 次の条件が必要になります 遺言を妨害する 遺言の撤回の妨害をする 遺言取り消しの妨害 遺言変更の妨害です 次回は芝家が再び登場します

相続人の資格2

次郎は偶然父の遺言書を見つけました そこには弟夫婦に財産の半分を遺贈するとありました かっとなった次郎は思わず怒りで遺言書を引き裂きました 本心にかえった次郎は驚いて張り合わそうとしましたが突風でほとんど飛びました 父親に謝ろうとしているうち父が死んでしまいました 次郎は通夜の席で遺言書を出し事情を説明しました 遺言書には財産半分を遺贈すると書いてあったので財産半分を渡すからゆるして下さい 叔父夫婦は遺言書を見てましたが納得して帰りました しかし翌日叔母がとんでもない事を言い出しました 次郎は相続欠格だから相続人は旦那と次郎の母さんだけです あんたはこの問題から手を引きなさい 困った次郎は本当は元警官のカネゴンに助けを求めました はたして次郎は相続欠格でしょうか カネゴンは言いました 安心して下さい芝さん あなたのやった事は相続欠格の遺言書の破きとは言えません しかしそれを証明するのは大変です とりあえず遺言書の切れ端を集めて下さい 次郎は必死に飛んだ切れ端を集めました 芝家は敷地が広いので全部見つかりました 権藤はそれを持って叔父夫婦の所へ行ってくれました 次郎もくっついて行きました 権藤は言いました 芝さん おさがわせします あなたの言う相続欠格を次郎君は対象になりません 強欲な叔母が言いました なぜですか 次郎は遺言書を破棄したんですよ 権藤は言いました 確かに破りましたがちゃんと切れ端を集めて見せてますし 今はチャンと集めて元に戻しました やぶっただけでは破棄とは言えませんし 何よりも遺言書は隠さず公開してますし 叔父さんが言いました もういいじゃないか それで遺言は執行できるんでしょ 権藤は言いました ええ出来ると思いますが いやこりゃまずい 遺言書を見直して権藤は言いました

相続人の資格3

一同は目を丸くしました 叔父は聞きました どうしてですか 権藤は言いました 見て下さい署名と印がない おそらくこの下が切れてますから この下に 叔父が言いました 次郎お前隠してるんじゃないだろうな 次郎は言いました めっそうもございません 叔母が言いました ないとどうなんですか 権藤は言いました 遺言は無効です 叔父は言いました ええ?次郎このバカ野郎 兄貴がせっかくオレのために 次郎は言いました そう言う事ですからおあきらめ下さい あまり怒ると血圧あがりますぜ 叔母がいいました あんたあきらめるつもり 次郎ちゃん叔父さんと一緒に探してきなさい 叔父は言いました 行こう次郎 なあ次郎女は人生の後半強いな 次郎は言いました もうないのに 権藤は言いました では私はこの辺で あとは身内の方同士殴りあうなり殺しあうなりお好きに 権藤が家を出ようとすると叔母が呼び止めました すいません 権藤は言いました 何か 叔母は言いました 知り合いにいい弁護士さんか何か あっいいです 権藤は言いました はあ 叔母の目が鋭く光りました

相続人の資格4

権藤は高級バーでカラオケに興じていました 夢の坂道はコバルト色の石畳 そこへいきなり電話がかかり殿と呼ばれた背の低い男が勝手に取りました 殿は言いました ダンカ 権藤さん 電話だ 権藤は言いました すいません あっ芝さん え 何ですって 芝さんが相続欠格者になるって 叔父さん夫婦が明日弁護士に説明させるって わかりました あすうかがいます   そして明日になりました 権藤が芝家に行きますと超高級外車が止まっており品のいい老人が磨いておりました 突然玄関からよこわけの男があらわれました お待ちしておりました わたし今度この問題の依頼を受けました 弁護士の古美門研介と申します かくして叔父夫婦と次郎は相続について話し合いをする事になりました 叔父夫婦側は夫婦と古美門 次郎側は権藤と新たにくわわったベーちゃんです 叔母は言いました あのね次郎ちゃん私はいいんだけどさあ弁護士先生が言うには次郎ちゃんの行動はあきらかに遺言の破棄だというのよ 権藤は言いました なぜですか芝次郎君は確かに遺言を破りましたが はり合わせてお見せしましたよね そのあとも庭中を探して遺言をほとんどをみつけだしましたよ 古美門が言いました しかし遺言書の大事な部分がなく遺言が無効の状態だ これじゃあ破棄とみなされても仕方ないでしょう 権藤は反論しました しかし悪意は感じられない これを破棄というのは人情的にいっても 古美門が言いました 人情なんて 大事なのは証拠です 私は破棄が意図したものではないと証明できない限り 芝次郎さんの遺言失格を主張します だいたい 聞いてみるとその日は風が強かったと言うじゃないですか誰が考えても バラバラになった遺言をその場でつなぎあわせるなんて非常識でしょうが べーチァンが怒りました 何いってんだよ 次郎ちゃんの事をしらないくせに 35歳になってまだニートやってる次郎ちゃんが世間の常識なんか知ってるわけないでしょう 次郎は言いました いいぞべーちゃん もっとどんどん言ってやれ 叔母が言いました 次郎ちゃん あんた馬鹿にされてるのよ 次郎は言いました いいんです 例え馬鹿にされようが 家からお金がでていくよりは 叔父は言いました 働く気が全然ないからある金を守るために必死だな

相続人の資格5

古美門は服部さんを手招きしました ちょっと服部さん 服部は近づいて来ました 古美門は小声で言いました どうも勝手が違います やりにくい 降りようか 服部は言いました これはこれは私服部 古美門先生の所へお世話になり云十年初めてお聞きするお言葉です いやー長生きする物だと今服部は感動しております 古美門は言いました 服部さん あなたも最近勝手が違う 服部は言いました これはこれは一本取られましたな 古美門は次郎に言いました 今日の所は私は帰ります 訴訟の準備をしなければならないんでね 叔母は言いました えー訴訟ってどういう事ですか 古美門はいいました 相続欠格確認訴訟です 叔母は言いました えーそんなおおげさな 古美門は言いました いいですか芝さんしっかりしてください これは戦いなんだ ズワイカニ食べ放題バスツワー気分では困ります それから権藤さん あなたの行動は非弁行為になる可能性もあります 早く手を引いて下さい ではまた 古美門は帰って行きました ここは古美門の車の中です 服部が言いました 今回は楽勝ですな 古美門は言いました 今回もです 服部は言いました これは失礼いたしました 古美門は言いました いや嫌な予感がする くそあんな役立たずでも追い出さなきゃよかった どうしてます 服部は言いました 黛先生ですか 同じくフリーになった改世先生と共同事務所をお立ち上げになって 今新宿駅でビラくばりをしていると言うはなしです 古美門は言いました キャッチバーの呼び込みと間違えられない事をのぞみます 特に改世楽子の方が 服部は言いました それよりお人よしのお二人がこのせちがらい世の中で餓死なさらないか心配です だいたい先生が黛先生の土地に根抵当権をお付けになり 生命保険をおかけになったからこうなったんですよ<お前はヤクザか> 古美門は言いました 貧乏貧乏といいながらも有名醤油会社の一門で苦労なしで育った黛ですから社会の底辺を這いずって来た楽子に触発さあれれば一皮むけて少しはましになるでしょう

相続人の資格6

権藤は言いました 芝さん私はもうおりたいと思います ベーちゃんが言いました そんな権藤さんがいなかったら次郎ちゃんは 権藤は言いました たしかに非弁の疑いありますし いくら報酬なしでも非弁にならんと言う保障は 相手はその手のプロだし 次郎が言いました おじけずいたのかな 権藤とも あろうものが 権藤は言いました あろうほどの物でもありませんから 次郎は言いました 尻尾をまいてたいさんするわけだ ベーちゃんが言いました 次郎ちゃんその言い方はまずいよ 権藤は言いました どうとでも言ってください 次郎は言いました 君は腹をすかしたひなどりを置いて飛び去る親鳥の心境を考えた事はないだろうな 権藤は言いました わかりました そこまでおっしゃるなら アフターケアしましょう しかしどうなってもしりませんよ 権藤はケータイを出して電話した もしもし京極法律事務所さんですか○○署にいた権藤です そう警察犬の事でお世話になった いや京極先生 青島先生ではありません あの管理人さんがおもどりになったと言う噂を聞きまして えっ戻ってる いらっしゃいますか 買い物に言ってる じゃあすぐ帰ってきますね 南大門 焼肉や 違うソウルの南大門へ行った えっ今日の深夜の便で じゃあ日本についたら何時でもいいのでご連絡下さい ベーちゃんが言いました 京極先生って言う人ですよね 次郎は言いました 何か嫌な予感がする 権藤は言いました じゃあことわりますか 次郎は言いました 溺れるものはわらをも掴むだから まあよろしいでしょう 権藤は言いました なんかひとごとだね とにかく今の台詞彼女の前では言わないように ベーちゃんが言いました  彼女
 京極先生は女性?

相続人の資格7

こちらはご存知古美門邸です 古美門は言いました 芝家の資産はどのくらい 服部は言いました 概算ですが自宅敷地 貸し地と不動産だけでも10億はくだらないと 古美門はいいました 単純計算で
その半分5億か 20パーセントの報酬で一億か 服部は言いました 20パーセントですか 古美門は言いました 勝てば濡れ手に泡の5億だよ まあいいわ 10パーセントで5000万 私の報酬基準でも悪くない仕事だ すぐ終わりそうだし 黛がいた時何度いってもゴミ拾ってきやがって その内名前がひろがり毎日のようにゴミが集まってくる あいつがやめてからゴミそうじをする奴がなくなった しょうがないのでネクサスがなくなり仕事がない磯貝のやつに押し付けて来たんだが 服部は言いました 紹介料50パーセントですね 古美門は言いました まあ 仕事をつないどいてやろうと今回赤字覚悟で引き受けてみたんだが大当たりだったようだ 服部は言いました 最近企業関係の訴訟が少ないんできびしかったので助かります ところでここにまわって来た少額の訴訟は もともと黛先生の仕事ですから少しはまわしてさしあげたらどうでしょうか 古美門は言いました 相変わらずあいつらの事務所は仕事が来ないのか 服部は言いました はいそのようです 古美門事務所の黛先生に仕事が来てたので 古美門は言いました 黛は頼りないけどいざとなったら この私が可愛いい弟子のために解決に乗り出す だから貧乏人は嫌だ あさましいよ 服部は言いました かわいい弟子ですか 古美門は言いました にくらしいよ この世界に10年近くいるのにいまだに頭がカチカチで

相続人の資格8

黛まちこが疲れた顔で粗末な事務所に帰って来ました そのあとすぐ改世楽子も帰って来ました まちこが言いました ご苦労様 どうそっち 楽子が言いました 全然駄目 そっちは まちこは答えず留守電の記録を見た まちこは言いました これも何もなしか 今日は二人で歌舞伎町でと言ったら あなたは嫌だって それで別行動だったのよね 楽子は言いました 歌舞伎町では顔売れすぎてるし 真知子は言いました だからいいんじゃないの 楽子は言いました わかってないな 短いスカートはいて太もも押し付けてきた人に大事な訴訟を頼むと思う? 真知子は言いました それがあるか 楽子は言いました これからはファームの時代よね あなた有名ファームにいたんでしょう 真知子は言いました マンハッタンの鷹を目指してたの 楽子は言いました マルタの鷹じゃないの とにかくうらやましわ そう言えば あなた新と平行して少しやってた旧試験だよね レベルが違うか 真知子は言いました あたしなんか古美門に言わせれば馬鹿でも受かるって アイツ旧の試験だから 楽子は言いました キュウキュウニョリツリョウって言うからね 真知子は言いました 何それ  楽子が言いました 企業の法務が弁護士を選ぶ基準 一番が旧の試験合格者 次は旧試験合格者 つぎは女弁護士 つぎは実務になれた弁護士 最後は人格者の弁護士 旧旧女実良 真知子は言いました 人格は最後なわけか 古美門みたいなやつらが巾をきかせるわけよね

相続人の資格9

楽子は言いました 何が格差社会をなくすよ それをリードする弁護士が格差社会じゃない あー頭来る 旧の弁護士がいる限り私達に栄光は来ない 二人で殺しに行こうか 黛は言いました 私はそこまで あなた色々溜まってるんじゃないの いや 一人だけは殺したい 黛は首をふりました 殺しちゃだめ まず勝たなきゃ でも殺したい あーでも殺すと勝てない でも殺したい でも勝ちたーい 決めた 勝ってから殺す 倒してからぶっ殺す     古美門は言いました 服部さんなんか言いましたか 服部は言いました いいえ何も 古美門は言いました この変に悪寒が 古美門は襟のあたりを指差しました その時ケータイの着信がありました 古美門は言いました すいませんお願いします あれ おかしいな 病気の前兆かな 服部は言いました では失礼して 服部はケータイを取りました 古美門は言いました 誰からですか 血圧測ってみるかな 服部は言いました 権藤さんからです 芝次郎さん側の代理人が決まったので今日顔あわせをしたいそうです 古美門は言いました どこですか 服部は言いました 京極法律事務所という所です 古美門は言いました 京極 知らんな 服部は言いました もしかしたらあそこじゃないでしょうか 覆す事が不可能と言われた過去の事件を覆したと言う 古美門は言いました その勝訴の裏にはかつて法廷の女神と言われたパラリーの影がある しばらしく法曹界から離れたと聞いてましたが未練を捨てきれず戻って来ましたか いいでしょう2度とこの世界に足を踏み入れないようにこの私が叩き潰してやりましょう 服部は言いました ハイ対Vですな

相続人の資格10

古美門は言いました 服部さん車をお願いします 服部は言いました えっもう出かけるんですか 古美門は言いました 奴らより先について迎え撃ってやりましょう 古美門は指笛をふいた 何も起こらない 服部は言いました 古美門先生それはちょっと 古美門は言いました わかっています 癖になっていただけです 行きましょう  古美門は芝家につくと 玄関前に仁王立ちになって待ち構えた 2階から次郎が顔を出したが挨拶もせずに引っ込んだ やがて一代の乗用車が到着すると京極が飛び出して来るように出てきて古美門に握手を求めて来た 京極は言いました 古美門先生ですね ご高名はかねがね わたくし 京極法律事務所代表 京極雅彦と申します 古美門は握手に応じず言いました 下らない理屈を並べて国家の税金を浪費させていたご老人はせんべいでも食べながら余生を縁側で過ごす事を推奨します 服部さん お相手して差し上げて下さい 服部が言いました 私古美門家の執事服部と申します 京極は言いました 執事さん 服部は言いました まず失礼をお詫びいたします 京極は言いました 覚悟はしておりましたがこれほどとは 服部は言いました もうしわけありません 古美門先生は悪気は全然ないのですが 分別もまた全くない方なのです 古美門は言いました 一体どういう事なんだ 弁護士が先に来てパラリーが重役出勤か 青島が出てきて言いました そう言う事務所なんです 弁護士の青島圭太です 古美門は握手に応じました 京極の体が震えました 服部は言いました 申しわけありません 古美門先生は義務教育中の子供と老人が大嫌いなのです 京極は言いました何故ですか 服部は言いました 先生は高額納税者だからだと私は思います その時次郎が2階から首を出し挨拶をしようとする京極を無視して引っ込む 京極は言いました あの人も高額納税者 服部は言いました あの方は今まで一円も税金を払った事はないでしょう

相続人の資格11

やがて一台のキザなスポーツカーが止まり 中から声がします ねえさん着きましたよ 女の声がします ちょっと辞め検 なんであんたまでついて来るのよ 別の男の声がします 元教授は来てもいいっていったんだ おいそがしくなければどうぞと言ったんでしょう あなた暇なの?忙しいけどついて来てやったんだ  どうだか 言葉に気をつけろよお前如きにがたがた お前とは何よお前とは お前で悪ければテメエか ボカッ  車から一人の女性が出てきました 続いて目にクマをつけた男が若い男に支えられて出てきました 古美門はその顔を見ると手を上げて合図しました 男は逃げるよう車の方を向きました 女性はたずねました あいつにもしてやられた事があるの 男はいいました あいつにやられた事のない検事なんて東京地検の公判部には誰もいない 古美門は言いました やっとご到着ですか 露払いを多く従えてご到着とはまるで大病院を牛耳った かの赤目院長を彷彿させますね 独善的で違法行為も平気で行う所もそっくりだ 小鳥遊は言いました 古美門先生とお見受けします ところであなたの近くに咲いていた可憐で痛いおしろい花はどこかしら まさか彼女にも愛想つかされたわけじゃないでしょうね それじゃあなたの味方はこの地球上には一人もいないと言う事になりますわよ 傲慢でおもいこみの強い勘違いドンファンの裸の横わけ王子様

相続人の資格12

古美門はたじろきました 古美門は言いました なんて口が悪い女なんだ 突然一匹のまめ柴が二人の中に入って来ます 首には赤いおまもり袋のような袋がつけてありました ベーちゃんの声がしました その子を捕まえて下さい その言葉と前後するように次郎が飛び込んで来ました 犬をおっかける次郎の後ろ姿を見ながら小鳥遊はいいました 何あの生物 青島が言いました 犬ですね まめ柴ですか 小鳥遊は言いました そうじゃなくて大きい方よ 青島が言いました 生物って 依頼人の柴次郎さんです 古美門は髪に手ぐしをかけました 彼が戻って来るまで中で待ちましょう 古美門は小鳥遊に手を差し出しました よろしく 小鳥遊も応じました こちらこそ 京極はハンカチをかみ締めました    一同が集まってるところに次郎達が帰ってきました 古美門は言いました さあそろいましたね では始めましょう ところでそちらは二人も弁護士がいるんですが 突然辞め検が手を上げます はい 私も弁護士です 古美門は言いました あんた部外者だろ 京極が顔をしかめました やめ検は手を下げました 古美門は言いました 主任弁護士を決めてほしい 京極が言いました では私が 小鳥遊が言いました ポチ あんたやんな 青島が言いました しかし事務所代表がいるのに 小鳥遊が言いました 認定弁護士がこの男と戦えると思ってるの 京極は言いました 青島君お願いします 服部が慰めるようにめくばせしました 青島が言いました わかりました 青島健太です 古美門は言いました ところでこれでオールスタッフかな あと吃音のストーカーと コンニョ<貢女>がいるとか 青島が言った コンニョとはどういう意味ですか 伊藤理恵さんはコンニョではありません 古美門が言いました じゃ伊藤理恵はなんなんだ コンニョと伊藤理恵の違いを説明したまえ 君も弁護士なら 青島は追い詰められましたがひらめきました 青島は言いました 伊藤理恵さんは主格で コンニョは目的格です 小鳥遊は言いました うまいポチ よく返した えらいえらい 服部は言いました SとOですな 古美門は言いました 中学生の英語かい

相続人の資格14

古美門は言いました 柴重雄さんの代理人として小鳥遊いや 京極事務所に提案したい お互い綺麗にけりをつけるためにいくつか合意しようじゃないか 小鳥遊は言いました どういう事 古美門はいいました まずそちら側だが遺言無効確認の訴えは当分ひかえてもらいたい 小鳥遊は言いました そっちは 古美門は言いました こちらは柴次郎さんに対する欠格訴訟を当分ひかえる 小鳥遊は言いました 不公平だわ 第一柴重雄さんには適格がないでしょう<当事者適格 裁判を行うためには一定の資格を必要とする> 古美門は言いました 古いな 君は平成16年判決を言ってるのか 確かに平成16年の判決では欠格訴訟は相続人全員の必要的共同訴訟<各相続人は個別には訴えられない>とされた 現時点では重雄さんは相続人ではない しかし15年も前の判決だ もう流れは変わっている 私なら包括ジュイ者の柴重雄さん一人でこの欠格訴訟を起こしてみせる それにだ 遺言無効確認訴訟を起こすにしても この訴訟は調停前置主義<いきなり訴訟を起こせない>だ ながびけば困るのは柴次郎さんじゃないのか 無収入だそうじゃないか 小鳥遊は言いました じゃあどうやって決着をつけるの 古美門は言いました 和解だ 期が熟したらお互い自分に有利なカードを見せあい和解交渉する

相続人の資格15

小鳥遊は言いました 不起訴合意<特定の事実について裁判しない合意>をかわすわけ 古美門は言いました いや 和解までは訴えないと言うだけだ 和解不調なら拘束はない 小鳥遊は言いました それなら了解 古美門は言いました 協力に感謝する 合意文書を送るから 小鳥遊は言いました ポチ あんた処理しときなさい 青島は言いました わかりました 小鳥遊は言いました さあ話はついたわ ここは生ぶ   次郎さんの縄張り よ 貴方達はどうぞ隣の掘っ立て小屋におもどり悪巧みをめぐらしてください 富子さんは怒った ほったて小屋とはどういう事 古美門は言いました まあ柴さん もう戦いは始まってるのですから 重雄は言いました 富子は言いました 富子行こう 富子は言いました 確かに立派な家じゃないけどね 電気ガス水道全部通じてるのよ 次郎はぎくりとして身を縮めました ベーちゃんは言いました あれ次郎ちゃんどうしたの 重雄達は不快な顔をしながら隣へ移って行きました

相続人の資格16

隣にうつってからも富子の機嫌は直りません 富子は言いました いったい何なのあの女 古美門は言いました 確かに彼女は口がわるいけど挑発にのってはいけません ところでお聞きしたいんですが 柴よしおさんの相続人は鞠子さん 次郎さんのお二人だけですか 重雄は言いました 見たとうりです 古美門は言いました これは大事な事です よしおさんには次郎さん以外にお子様はいらっしゃらないですね 重雄は怒りました あんた何をいいたいんだ 兄貴が鞠子さん以外の女性と関係して子供を作ったとでも言いたいのか 兄貴はそんなふしだらな人間じゃない いきなり失礼にもほどがある 古美門は言いました 失礼は承知なんです ご兄弟としてお兄さんを信じたい気持はわかりますが よしおさんに他に隠し子でもいると次郎さんを欠格させる事が出来ても徒労になる可能性があるんです いいですか柴さん 相続訴訟と言うのは汚い訴訟なんです 故人の棺をあけて 入れ歯を引き抜いて来なければ勝てない訴訟なんですよ 服部が言いました 我が国は法律で火葬ですが 古美門は言いました わかってます 富子が言いました あんた 頼んだ限りは先生に協力しよう 古美門は言いました それでは調べてください ところで次郎さんの方はどうですか 重雄は言いました どう言う意味ですか 古美門は言いました 次郎さんのお子さんについて何か情報は 富子は言いました 次郎ちゃんに隠し子 二人はとつぜん笑い出しました  二人は言いました 重雄は言いました もちろん兄貴もそうですが次郎に関しては100パーセントありません 富子 変な話ですが次郎ちゃんは一度もその女性と関係した事はないと思います 古美門と服部は顔を見合わせました
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